[特集]
姉を交通事故で失った女性、救助隊結成し事故に遭った人々を救う
2024/10/13 10:16 JST更新
(C) thanhnien |
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グエン・ホアン・キム・ガンさん(女性)は、姉を交通事故で失った悲しみから、「911交通救助隊」を結成した。チームの絶え間ない献身は、交通事故に遭った多くの人々を救ってきた。
事故を減らすという使命を掲げた「911交通救助隊」は、ホーチミン市直轄トゥードゥック市のベトナム青年連合会に属している。
2012年、ガンさんの姉は交通事故に遭い、命を落とした。これが転機となり、ガンさんは交通事故に遭った人を一刻も早く病院に搬送できるように助けることを決心した。
当時、ガンさんはたまたま東南部地方ドンナイ省に事故後の応急処置を施すグループがあることを知り、参加を申し出てそこで6か月間にわたり学んだ。
それから、ガンさんはもともと住んでいたトゥードゥック市で交通事故が多いことに気づき、グループを抜けてトゥードゥック市で救助のボランティアを続けることにした。
「911交通救助隊」でガンさんは、事故現場での応急処置と、被害者が病院に行く際のサポートというメインの役割を担っている。時間があるときには救助技術を学んだり、実践時に大変なことをメンバーと共有したり、医療機器を確認したりする。
チームは24時間体制で、深夜1時に帰宅する日もあれば、深夜2~3時になることもある。「睡眠時間はとても不規則です。誰かから電話があれば、すぐに駆け付けます」とガンさんは語る。
ガンさんによると、「911交通救助隊」の活動で最も大変なことは、同じ志を持つ仲間を見つけることだという。睡眠時間が不規則なため、メンバーは自発的に仕事や時間を調整しなければならず、積極性ももちろん必要になる。
チームのメンバーの本業は警備員や運転手、大学院生、美容師と様々だ。チームのリーダーであるガンさん自身は、収入を増やすために夜になると道端で飲み物を売っている。
「とは言っても、何か事故があればすぐに駆け付けます。飲み物を売るようになる前は、私も生計を立てるために色々な仕事をしました。救助隊の仕事はあくまでもボランティアで、補助金もありませんから。大工もやったし、ネイリストもパン作りも。資金の足しにするために、できることは何でもやりました」とガンさん。
当初、チームは自発的に活動していただけだったため、当局はチームの身元を知るはずもなく、結果的に被害者の救助であろうと事故の現場に立ち入ることも許されなくなった。
しかし、チーム全体で粘り強く被害者をサポートしていくうちに、徐々に周りもチームの誠実さと熱意を感じるようになっていった。
その後、「911交通救助隊」は、ホーチミン市直轄トゥードゥック市のベトナム青年連合会の直属となり、青年連合会の管理下に置かれることになった。以来、「911交通救助隊」が事故現場に出動するたびに、チームがすぐに応急処置を行えるよう、野次馬たちもすぐに場所を空けてくれるようになった。
「今でも思い出に残っているのは、救助隊を結成して1年ほど経ったころのことです。あるバイクタクシーの運転手が事故を目撃して、すぐに私たちに電話をかけてくれました。間もなく私たちが現場に到着すると、周りの人たちが『911が来たぞ』と叫んだんです。そのとき、周りの人たちが私たちのチームを心から信頼してくれることがわかり、とても嬉しかったです」。
ガンさんは現在、ホーチミン市のサイゴン工科専門学校で総合医療を学んでいる。他のメンバーも全員が救命講習を受けており、救命講習を専門とする組織から証明書を取得している。
2024年の年初からこれまでに、「911交通救助隊」はトゥードゥック市で300件以上の交通事故に対応してきた。さらに、チームは交通安全規定の普及や、道路冠水時の救難救助にも積極的に参加している。
ガンさんはこう語る。「どんなに小さな行動であっても、そこからポジティブなメッセージが生まれ、それは容易に広がって他の人の心を動かすと思っています。若いうちは果敢に行動しないと。思ったことは実行しましょう。若者の皆さん、あなたの物語は、必ず皆に伝わります。でも、自分が望んだ仕事を遂行するには、学び、知識を蓄えなければなりません。そして、その仕事を心から愛さなければなりません。そうすれば、容易に前に進むことができ、自分が選んだ道をしっかりと歩んでいくことができます」。
[Thanh Nien 14:09 09/10/2024, A]
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