[特集]
ベトナム住みます芸人「ダブルウィッシュ」独占インタビュー【後編】
2019/01/06 05:30 JST更新
吉本興業が主導するアジア版「あなたの街に住みますプロジェクト」の芸人(住みますアジア芸人)としてベトナムで活動するお笑いコンビ「ダブルウィッシュ」。2015年6月にベトナムへ移住してから3年半が経過し、ベトナム唯一の日本人芸人として活躍するダブルウィッシュの2人に、VIETJOベトナムニュース編集部が話を聞いた。
前編 → 吉本「ベトナム住みます芸人」ダブルウィッシュインタビュー【前編】
【ベトナムのお笑い界と裏話について】
―――ベトナムのイベントやテレビ番組収録などの現場で、日本と違う点、またそれによって良いこと、悪いことがあれば教えてください。
中川・井手:テレビ収録のスケジュールが違います!
井手:日本だとスタジオに全体の流れやスケジュールが貼ってあるので把握できるんですが、ベトナムのスタジオにはそういったものがないので、今日は何本撮りなのかな、いつ終わるのかな、今どれくらいのところまで進んでいるのかな、など全体のスケジュールが全くわかりません。よく相方と2人で「何待ち」なのかわからぬまま、静かに待っています。オーディション番組での話ですが、待てども待てども出番が回ってこず、結局次の日へ持ち越しになり、なんとトータル17時間待ちという経験をしました!こういったトラブルにも慣れすぎて、全く動じず、何事もなかったかのように次の日また出直したという僕らも僕らですが。
中川:良いことは、出番ギリギリにスタジオへ行っても大丈夫なところです。日本は何かあった時のためにと1時間前入りが普通です。ベトナムでは着替えて準備さえしていれば10分前でも大丈夫ですね。悪いところは、段取りが悪いところですね。朝早くリハーサルをやったのに、出番直前にもまたリハーサル、ということがありました。これは、朝のリハに付き合った音響担当と、出番前の音響担当が違う人だったからです。あと、テレビ収録でMCのカンペがなく、イヤホンからの指示で番組が進行することにも驚きました。「聞きながら会話をする」というのは結構なストレスで、読みながら会話する方が楽に思えます。
ホーチミン市のイオンモールでのイベント
―――ベトナムの現場でこれまでに起きた最大のハプニングを教えてください。
中川:テレビ収録でのことです。ネタをやるコーナーではなかったのですが、急に「ネタをやってくれ」という流れになり、僕が女装して、カズにイタズラで口紅を塗るというボケをやったんです。すると急にカットがかかり、「それは汚いからテレビではオンエアできない」と。口紅を少し大きめに塗っただけですよ。それだけでNGです。ネタも変更することになり、ただ歌って踊る、という出し物になってしまいました。
井手:ギターを使うネタで、ギター用に使っていたスタンドが全く自立せずにすぐ倒れてしまって困惑していたんですが、見かねたスタッフがやってきて直してくれるのかと思いきや、その人自身がスタンドをずっと支えていてくれました。それをいじるベトナム語力を持ち合わせていなかった僕らは、最後までそのスタッフについて触れることもできず、彼を含めた3人で「トリプルウィッシュ」としてステージパフォーマンスをやりきりました。でもお客さんも気にしている様子はなく、アタフタしているのは僕らだけでした。
―――ベトナム現地で共演したタレントの方々との交流はありますか?もしあれば、どのようなお話をされますか?
井手:深い交流はあまりありませんが、話す機会のある時は、なぜあのタレントは有名なのか、ということや、ベトナムで活動するにあたってのアドバイスなどを聞いたりします。でも、お互いの国の文化などについて聞き合ったりすることのほうが多いかもしれません。「彼女がいないから誰か紹介して!」というのは毎回必ず言っているんですが、いつも笑ってスルーされます(笑)。
中川:プライベートで遊びに行ったりすることはありませんが、よく共演するMCの方とは話をします。会話の内容は、ギャラの話ですね。どこの国もギャラの話は好きみたいです。
ホーチミン市のイオンモールでのイベント
―――他の住みますアジア芸人の方々との交流はありますか?もしあれば、どのようなお話をされますか?
井手:毎年、他の住みますアジア芸人がいるどこかしらの国を訪ねています。他の国に住んでいる芸人の活動を見ると刺激を受けますし、さらに最高のアテンドをしてくれるので勉強にもなるし、楽しいしで良いことしかありません!他には、オンライン飲み会をやったりもしています。近況を聞いたり、下世話な話をしていることが多いです・・・でも、やはり同じ境遇でお互いに気持ちが分かり合えるので、心が弱った時に連絡しています(笑)。
中川:他の住みます芸人とも、ギャラの話ばかりです。各国の住みます芸人の情勢が気になりますからね。でも、最近1番話している人は、台湾住みます芸人の漫才ボンボンの三木さんです。僕と三木さんは住みますアジア芸人の中の子持ち芸人なので、お互いに近況を報告しています。そういった会話が楽しかったので、最近ブログを開設しました!ゆくゆくは本にしたいとも考えています。そうすれば印税もたくさん入るはずなので。皆さん是非読んでくださいね!※中川さん、三木さんのブログはこちら:「嫁が妊娠した!!!」台湾、ベトナム住みます芸人奮闘記~その時、男はどうする!?~<
https://mikinakagawa.hatenablog.com>
【今後のビジョンについて】
―――3年半を経て、改めて今後の展望と、これから新たに挑戦したいことを教えてください。
中川:これまで色んなことをやらせてもらいましたが、次は映画に出演したいです。エンタメの最高峰はやはり映画です。そこで名前を売りたいです。ベトナム人ミュージシャンとミュージックビデオ(MV)も撮りたいですね。ベトナム人と一緒に、面白いものを一緒に作っていきたいです!
井手:今はベトナムのメディアにはたまにしか出演できていないので、これからもっとたくさん出演できるようになって、ベトナム全国を行脚したいです。そして、僕らのコメディスタイルがベトナムで受け入れられて、ジャンルとして確立したら嬉しいです!
11月20日の「ベトナム教師の日」で、生徒(カズさん)が女性教師(シンスケさん)に花束を渡すシーン
―――最後に、VIETJOの読者やファンの方々に向けて一言コメントをお願いします!
井手:「ベトナムに住む期限はいつまでなの?」とよく聞かれますが、そんなものはありません!吉本興業が期限などくれるわけがありません!ただ言われたのは、「売れるまで帰ってくるな」です!でも、売れたら帰りたくありませんし。おそらく僕らは言葉のマジックにうまく騙されているようです。
中川:「吉本坂46」(秋元康氏プロデュースのアイドルグループ)のオーディションの時は、応援ありがとうございました!残念ながら合格はできませんでしたが、今となってはベトナムで売れるために必要なことではなかったのかもしれない、と思っています。ただ、皆様の応援は引き続き必要です!日系企業の方々!テト(旧正月)のパーティイベントに1度僕らを呼んでみてはいかがでしょうか!歌って踊って、コメディまでこなす日本人は僕らしかいませんので、よろしくお願いいたします!
中川・井手:これからも無期限でベトナムにいますので、応援とお仕事、どうぞよろしくお願いいたします!
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ダブルウィッシュ(Double Wish)プロフィール
吉本興業東京本社(東京吉本)所属のお笑いコンビ。メンバーはボケ担当の中川新介(なかがわしんすけ、1982年6月25日生まれ)とツッコミ担当の井手一博(いでかずひろ、1983年2月6日生まれ)。いずれも熊本県熊本市出身。高校時代、テレビ熊本の若者向けローカル情報番組「若っ人ランド」で共演したことがきっかけで、2008年4月にお笑いコンビを結成。2015年6月より「住みますアジア芸人」としてベトナムに住み始め、現地で活動している。
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[2018年12月23日 ベトジョーニュース A]
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