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[特集]

発売から86年、懐かしの「バーおばさんの石鹸」が復刻へ

2018/11/18 05:05 JST更新

(C) tienphong.vn
(C) tienphong.vn
 1932年に発売されてから長きにわたりベトナムで広く親しまれつつも一度は市場から姿を消した、緑色のパッケージと女性の写真が印象的な石鹸ブランド「バーおばさん(Co Ba)の石鹸」が、本格的に復活を遂げようとしている。

 20世紀初頭からベトナムの人々の生活に欠かせない存在だった、懐かしの老舗ブランドの日用品として忘れてはならないのが、この「バーおばさんの石鹸」だ。

 「バーおばさんの石鹸」の伝説は、石鹸の生みの親である実業家チュオン・バン・ベン氏(1883~1956年)に始まる。ベン氏はホーチミン市の中華街チョロン地区で手工芸品を営む家庭に生を受け、1932年に5区のキムビエン市場で石鹸ブランドを立ち上げた。

 石鹸はココナッツオイルと苛性ソーダ、香料から作られており、当時のチョロン地区の工場では毎月1500tのココナッツオイルと600tの石鹸を生産していた。

 石鹸の品質もさることながら、ベン氏の商品の宣伝方法は当時としてはとても斬新だった。「ベトナム人はベトナム製の石鹸を」をスローガンに掲げ、商品ポスターだけでなく車両やサッカーのユニフォームにも広告を載せ、コマーシャルソングまで作ったのだ。さらに、社員を方々の雑貨店へ商品の売り込みに行かせた。次第に商品の認知度が高まり、広く使用されるようになった。

 その後「バーおばさんの石鹸」はベトナムから飛び出し、ラオスやカンボジア、香港、アフリカ諸国へ輸出されるまでになった。1977年になると、「バーおばさんの石鹸社」は半民間企業へ経営形態を変え、社名を「ベトナム石鹸工場」に改称した。そして2004年に株式会社化すると、ベトナム化学グループが株式の62%を保有するかたちで「東方製造貿易株式会社」と再度改称した。しかし、2014年に同グループが資金回収をし、経営から完全撤退した。

 時代の移り変わりとともにシャンプーやボディーソープなどの外国製品が輸入されるようになり、輸入品にシェアを奪われた「バーおばさんの石鹸」の製造が停止されてから1年以上が経った。

 そんな中、アンズオンタオディエン不動産貿易投資株式会社がこのほど「バーおばさんの石鹸」ブランドの2018年中の復刻を発表した。

 これに先立つ3月中旬、同社の株主総会でグエン・ニャン・バオ社長は、「調査によると、『バーおばさんの石鹸』は南西部を中心とした南部地域で支持を得ている。この石鹸ブランドはビジネスとして会社に利益をもたらすだけでなく、歴史的にも価値のあるこのブランドを守り発展させることが実業家としての責務である」と、「バーおばさんの石鹸」について言及した。

 バオ社長はまた、チュオン・バン・ベン氏は伝説の実業家であり、「バーおばさんの石鹸」がベトナム人へ与えた影響は大きいとして高く評価し、2018年中の再発売を目指して製造ラインの機械設備を準備中であると株主総会で明かしている。

 「バーおばさんの石鹸」の復刻版は従来の香りを維持しつつ、固形のほか液体石鹸などのシリーズも販売される見通しだ。 

[tienohong.vn 06:35 06/11/2018, T]
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