[特集]
どんな逆境にも負けない、「夫なしマンション」に住む女性たち
2018/07/29 05:12 JST更新
(C) kenh14.vn |
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南中部沿岸地方ダナン市に通称「夫なしマンション」と呼ばれる、困難な生活を送る寡婦とその子供たちが入居するホアフー5Aマンションがある。ダナン市リエンチエウ区ホアミン街区キンズオンブオン通りに建つマンションは、都市の喧騒と一線を画して静寂に包まれている。
しかし、夕方5時になるとマンションは一気に賑やかになる。子供たちが集まってサッカーやバドミントンなどをして遊ぶそばで、母親たちが小さな飲み物屋に座っておしゃべりに興じる。笑顔の女性たちの瞳の奥に悲しみが宿っているように見えるのは、これまであまりに多くの苦境をくぐり抜けてきたせいだろうか。
このマンションは同市の不幸な女性と子供を支援する会が投資主となり建設されたもので、4棟に各50m2の住戸が合計36戸ある。住戸は家具家電付きだが家賃は月々わずか10万VND(約493円)で、管理組織がマンションの修繕積立金として管理している。
不運な境遇に置かれ市内を転々としていた女性たち144人が、自治体の計らいで2008年から市内の近隣地域に移り住んできた。そして女性たちは2011年末に完工したこのマンションへ優先的に入居したのだ。
ここに住む女性たちの境遇は夫を亡くした人に離婚した人、女手一つで子供を育てる人と様々だ。しかし、どの女性も数十年にわたり男性不在の中で、あらゆる仕事に就いて苦労しながら生計を立てている。
ズオン・ティ・フエさん(40歳)は妊娠中に夫が蒸発、その後生まれた女の子アンさん(13歳)はてんかんと喘息の持病があり、終日家で寝ており話したり笑ったりすることもない。フエさんは持病のある娘のためにやむを得ず仕事を辞めた。
現在は毎月旧暦の1日と15日に母娘で市場へ行き、精進料理店の手伝いをしてわずかな食費を得ているほか、アンさんの障害手当てで何とか暮らしている。
「以前は私も雑貨などを売っていましたが、娘が病気になってからは世話をするために家にいなければなりません。これまで入院費や薬代にお金をどれだけ費やしてきたか分かりませんが、病気はなかなか軽くなりません」とフエさんは声を振り絞る。
ジエン・ビック・ゴックさん(49歳)の夫は軍隊の士官だったが、不幸にも交通事故で亡くなった。23歳になる1人娘は先天性脳性麻痺で、子供のように手がかかる。夫が亡くなって15年、ゴックさんは娘を養うためにあらゆる仕事をしてきた。苦労が多いのはマンションに住む他の女性も同じこと、運命は受け入れるしかないとゴックさんは話す。しかし、唯一の心配は自身が亡くなった後に娘の面倒を見る人がいないことだと、娘を胸に抱き涙する。
入居当初の女性たちはみんな哀しみや貧困で心を閉ざしていたが、時が経つにつれ互いに打ち解けあい、実の姉妹のように思い遣るようになった。それはきっと女性たちが苦労の多い運命にあり、男手がないという共通点を持っていたからだろう。
女性たちにとって子供は人生の光であり、子供たちを一人前に育てようという決意を胸に子育てをしている。幼い頃から足が不自由なホー・ティ・タインさん(44歳)が息子を連れてマンションへ来たのは、まだ息子に初乳も飲ませていない産後すぐのことだった。その息子も小学4年生になり、ずいぶん楽になった。
タインさんは車いす生活ながらも毎朝家の前で雑貨屋を開き、夕方にはお菓子も販売し収入を得ている。息子の送り迎えは、タインさんに代わりご近所さんたちが交代で行っている。
「息子は他の友達に劣るところは沢山ありますが、勉強がよくできて毎年表彰されるんですよ!将来は建築士になって、貧しい人のためにマンションを沢山建設するんだって言っています」と、息子の賞状を誇らしそうに眺めて微笑むタインさん。
マンションの女性たちは家族のために働くだけでなく、女性会の社会活動や地域の警備隊などにも積極的に参加している。現在では地域の警備隊に参加するマンション住民の女性は7人にも上り、家事や育児、仕事以外の時間に地域の治安維持活動に参加している。活動は有志で行われるため報酬はなく、ガソリン代や飲料水代なども自費だ。
グエン・ティ・トゥイ・バンさん(48歳)は10年前に夫を亡くし、現在実母(75歳)と息子(22歳)と暮らしている。毎日レストランで働きながら、休日になると地域の警備活動に参加する。
「この地域で私たちは助け合って暮らしています。困ったことがあれば分かち合い、助け合うんです。警備隊に参加しているのも、この地域の治安を維持しみんなが安心して眠れるようにしたいという思いからなんです」とバンさん。
同じく警備隊に参加しているドアン・クイ・タオさん(43歳)は2014年にマンションへ移り住んだ。借金取りから逃れるようにして一文無しで入居したタオさんは、その日の食事にも困るほどだった。子供を養うために建設現場で働きテレビや冷蔵庫を買い、娘を学校へ通わせた。そして今年、その娘が今年大学に合格した。
「この先も苦労が多いのは承知ですが、娘の明るい将来のために頑張るだけです」。愛娘のためならどんな苦労でも乗り越えようとするタオさんの決意は確かだ。
[Tri thuc tre, Ha Nam, kenh14.vn, 00:00 20/07/2018, T]
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