ドルチェ＆ガッバーナのショーに出演したベトナム人男性モデル [特集]

　米国ニューヨークで4月、イタリアを代表する世界的なラグジュアリーファッションブランド「ドルチェ＆ガッバーナ(Dolce & Gabbana＝D&G)」のファッションショーが開催され、ベトナム人のモデルが初めて出演した。

　ドルチェ＆ガッバーナのメンズオートクチュール・コレクション「アルタ・サルトリア」のショーに出演したのは、男性モデルのフジ・グエン(Fuji Nguyen)さんだ。

　今回のショーに出演したモデル70人のうち、アジア出身のモデルはわずか2人。フジ・グエンさんはそのうちの1人で、ベトナム人として初めてドルチェ＆ガッバーナのショーに出演した。

　フジ・グエンさんは1996年ベトナム生まれ。両親はビジネスマンで、一家は中学生のころに米国へ移住した。彼は、小学生のころにテレビでファッションの番組を観てからモデルに憧れていたという。「でも、仕事での色々な困難を乗り越えることができないのではないかと心配して、両親は私がモデルの仕事をすることに賛成してくれませんでした」とフジ・グエンさんは語る。

　小さいころから自立心があり、同級生と比べてずば抜けて背の高かった彼は、16歳のときに独り立ちし、学業に加えて「フジ・グエン」としてモデルの仕事をしながら生活費を稼ぐようになった。

　2015年、19歳のときにプロのモデルとしてデビュー。当時の彼にとってのモチベーションの1つは、ベトナム人女性モデルのホアン・トゥイ(Hoang Thuy)さんだった。

　2人はトゥイさんが2015年のはじめに仕事の機会を求めてニューヨークへ渡った際に出会った。「トゥイの強い決心を目の当たりにして、皆ができることは私にもできる、と思いました」とフジ・グエンさんは打ち明けた。

　187cmという高身長と理想的な肉体で、フジ・グエンさんはたちまちニューヨークにある複数のモデル事務所と契約を結ぶことができた。2016年からは、ニューヨークで開催されているプレタポルテのコレクション「ニューヨーク・コレクション(New York Fashion Week)」に出演し、様々なブランドのショーでキャットウォークを歩いている。

　2017年12月からはニューヨークにあるモデル事務所「フュージョン・モデルズ・ニューヨークシティ(Fusion Models NYC)」に所属し、今回のドルチェ＆ガッバーナのショーのオーディションに挑戦するチャンスを得た。このオーディションはモデルの採用基準がとても厳しく、彼にとってこれまでで最も難しかったというが、見事に出演権を手にし、このほど晴れ舞台に立つことができたのだった。

　現在、フジ・グエンさんはモデルをしながらマーケティングの仕事をしている。さらにスタイリストとしても活躍し、ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)のレオミー・アンダーソン(Leomie Anderson)さんやベトナム人モデルのトゥエット・ラン(Tuyet Lan)さん、そしてニューヨークで出会ったトゥイさんのスタイリングを手掛けるなどしている。

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