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[特集]

国内最長の木製橋梁、妻想いのトラと産婆の伝説

2018/04/08 05:15 JST更新

(C) VnExpress
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 国内各地には、住民らの手で建設された木製の橋梁が多数存在する。なかでも南中部沿岸地方フーイエン省にある「オンコップ(Ong Cop=「オスのトラ」の意味)橋」は、国内最長の木製の橋梁で、ある伝説を持つ橋として有名だ。

 オンコップ橋は「ミエウオンコップ(Mieu Ong Cop=「オスのトラ寺」の意味)橋」とも呼ばれ、国道1号線から数十メートル離れたマンゴー畑の近くに位置する。橋はビンバー川をまたぎ、トゥイアン郡アンニンタイ村とソンカウ市スアンダイ街区を結ぶ。

 これは1998年に10億VND(約465万円)を投じて建設されたもので、長さ700m、幅1.5m(最も広い箇所で1.8m)。建設資材には木板や古い竹が使用されている。スアンダイ街区側の橋のたもとには木材店があり、橋の料金所も設置されている。1回の通行料は徒歩が1000VND(約5円)、二輪車が3000VND(約14円)。品物を運搬する場合は5000VND(約23円)が追加徴収される。

 橋には補修用の木板が常備されており、どこか壊れればすぐに直すことができる。洪水で橋全体が川にのまれた時には修復に数か月かかり、住民は遠回りをしなければならなかったという。

 このオンコップ橋の伝説はこうだ。まだ人と動物が互いに言葉を理解し合えた遠い昔、ミーズア山にはトラの群れが住んでいた。ある時、メスのトラが難産になり、夫であったオスのトラが山を下りてドンドー集落で産婆をしていた老婆の家の戸を破り、老婆を連れ去った。集落の人々は噂を聞きつけるも、ただ老婆の無事を祈るしかなかった。

 ところが、メスのトラが無事に出産を終えるとオスのトラは老婆を山から帰したのだという。3日後の夜、トラはお礼に1頭のイノシシを老婆に届けた。

 しばらくして老婆はドンドー集落を離れ、トゥイアン郡アンニンドン村ホンブー山のふもとにある沿岸の村で商いを始めた。老婆が亡くなってからは、旧暦の大晦日になるとミーズア山からビンバー川を渡って海の方へ老婆の墓参りに向かうトラの足跡が見られるようになったが、しばらくしてオスのトラも命尽きた。

 その後、ドンドー集落の人々は寺を建て、大人しく妻想いのトラを祀った。橋がこの寺に直結していることから橋の名前もオンコップ橋と付けられた。現在、この橋や寺は国内外の観光客の観光スポットとなっている。 

[Do Thi Huynh Hoa, VnExpress, 27/3/2018 14:05 GMT+7, T]
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