[特集]
捨てネコ1万匹の命を救った4人の女性
2018/01/21 05:38 JST更新
(C) Thuy Hang, Thanh Nien |
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ホーチミン市11区に、17年間にわたって1万匹の捨てネコの命を救ってきた4人の女性がいる。市場で商いをする女性に家政婦、空き缶回収業で生計を立てる女性と生活背景は様々だが、いずれも生活は楽ではない。それでも捨てネコを保護しては世話や里親探しを地道に続けている。
同区ティエック市場の一角で商売をしているクアック・ティ・チンさん(58歳)は、自分の売り場の横に保護したネコたちのケージ2つとエサ皿を置いている。チンさんは2000年からネコの保護を始めた。当時はスマートフォンやフェイスブック(Facebook)などもなく、ただ売り場を通りがかる客に声を掛け里親を探した。
捨てネコの多くは生まれたばかりの子ネコで、里親が見つからない時はチンさんが連れて帰り、ミルクを与え予防接種を受けさせるという。「ネコ好きという訳じゃないんだけど、雨に濡れていたり犬やネズミに噛まれていたり、お腹を空かせてヨタヨタ歩いているのを見ると放っておけなくて、それで連れて帰るんです」とチンさん。
チンさんは1か月に平均で60匹のネコに里親を見つけ、これまでに保護したネコは1万匹に上る。
早朝に起きて一番にすることと言えばネコのエサやり。それからネコに薬を飲ませ、家を掃除して朝食を摂ることさえ忘れてしまうこともある。ネコが元気ならそれだけで嬉しいが、病気になるといたたまれないという。
チンさんはのちに同区に住むグエン・キム・アインさん(63歳)、通称「ネコ婆さん」のチャン・ティ・ホアさん(62歳)、チャン・ティ・マイさん(65歳)と知り合い、一緒にネコを保護するようになった。
アインさんは足腰が弱いが生活費のため清掃員として働いている。1人暮らしの小さな部屋の一角にはビーチチェアがあり、ここがアインさんの寝床だ。保護している20匹のネコたちのスペースを空けるためにベッドでは寝ない。「毎日夜中の1~2時に寝るんですが、子ネコが鳴けば起きてミルクやお粥をやらなければなりません」とアインさん。
遠出もままならず、どうしても出かけなければならないときは旅行鞄にネコたちを入れて連れていくという。ネコの世話は報酬もなくとても骨が折れるが、施しようがなくネコが腕の中で弱っていき死んでいくときほど辛いことはないとアインさんは言う。「せめて屋根の下で逝ってほしい、ただそれだけです」。
ホアさんは子供が精神疾患で治療中なうえ、自身も心臓の持病を抱えているが、清掃員として働きながら自宅では100匹のネコの世話をしている。マイさんは空き缶・ビンの回収で生計を立てており、雨の日も風の日も路上で仕事をしている。仕事中に雨に濡れ震えるネコや空腹でお腹がぺちゃんこになったネコなど、路頭に迷うネコを保護することが多い。
ネコの保護を始めた当初、保護による弊害を懸念して周囲の人々は女性たちの活動を支持・支援することはなかった。しかし、ネコがみな大人しく可愛いため、次第に有志がネコのミルクやエサ、薬代を寄付するようになった。それでも足りない分は4人の女性の中で最も生活が安定しているチンさんが負担している。
女性たちは今、いつか自分たちがネコの面倒を見切れなくなった時のことを危惧している。チンさんは個人のフェイスブックでこれ以上可哀そうなネコを増やさないようにと、飼いネコの去勢を訴え、電話番号を公開してネコを引き取りたい人や獣医を紹介してほしい人の相談にのっている。
[Thuy Hang, Thanh Nien, 12:18 PM - 18/01/2018, T]
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