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[特集]

手動踏切の踏切番、仕事と家族への思い

2017/11/19 05:23 JST更新

(C) nguoiduatin
(C) nguoiduatin
 ベトナムの手動踏切で列車が通過する際に遮断用の柵を動かし人々の安全を守る踏切番。 のんびりとした単純な作業のように見えるが、踏切番の仕事をしてみて初めて、踏切番は色々なものごとと引き換えにこの職を続けているのだということがわかる。

 踏切番はいつも煙や埃にまみれ、外で長時間立ち続けることもある。腰痛や頭痛、空咳も日常茶飯事だ。

 踏切番のグエン・バン・トイさん(男性)は、この職に就いて7年が経つ。「私たちの仕事を目にする人は皆、列車が通過する際に柵を動かせば任務が終わり、何も大変なことなどないと思うでしょう。でも、実はその後にもたくさんの作業があり、休む暇などないんです」。

 「今日が朝のシフトだったら明日は夜のシフト、と交代で働くので、子供の世話は妻が1人でやっています。給料は月額350万VND(約1万7500円)で、現在の一般的なレベルと比較しても生活をカバーするには足りません」とトイさん。

 ブー・バン・ビエンさん(男性)は、踏切番になって22年のベテランだ。ビエンさんは、「踏切番になるには、困難に打ち勝つための『鋼の頭』が必要です」と話す。踏切番としての22年間に、ビエンさんは少なからぬ人々の命を救ってきた。

 「以前、交通の安全を確保するために踏切の柵を動かしていたところ、列車が間近に迫っているにもかかわらず踏切を渡ろうとする男性がいたんです。もしその時、私がすぐに男性の腕を引っ張っていなかったら、不幸な事故が起きていたでしょう」。

 ビエンさんによると、踏切番の仕事をするためには、たくさんのものごとを引き換えにしなければならないという。「踏切番として働いてきた22年間のうち、20年間は家族と一緒にテト(旧正月)を迎えられていません。田舎の友人たちは、私がテトすらも休めないようなどんな大きな仕事をしているのかと疑問に思っているようです」。

 「辛かったのは、大晦日の夜に踏切で柵を動かし、電話をかけてきた妻と子供が言葉を詰まらせて必死で涙が流れるのを隠そうとしていたときです。祝日は私たち踏切番が最も忙しいときなので…」とビエンさんは振り返る。

 ミン・リーさん(女性)は、踏切番の職に就いてから18年間のうち、ここ10年間はずっと大晦日の夜も仕事で家をあけている。「幸い、夫は私の仕事を理解してくれています。テレビで新年を祝う打ち上げ花火の音を聞き、人々が楽しそうにしているのを見ると、涙が流れてしまいます。でもこの仕事が好きなので、全てを捧げています」とリーさん。

 疲れた顔、寝不足でくまのできた目もと、日に焼けた肌…これらを目にしてようやく踏切番の仕事がいかに危険で大変かがわかる。彼らは家族と一緒に居られないことや祝日もないことをも受け入れて、列車が通過するたびに人々の安全とまちの平和を守っているのだ。 

[Thanh Lam - Nguyen Lam, Nguoi Dua Tin, 06:30 22/08/2017, A]
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