VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

「義手ロボットで不発弾被害者を助けたい」、世界で認められたベトナム人高校生

2017/05/28 05:13 JST更新

(C) tuoitre
(C) tuoitre
 北中部地方クアンチ省クアンチ町高校2年生のファム・フイさんは、障がい者向けの義手ロボットの製作に成功し、3月に教育訓練省が主催する国家レベル科学技術コンテストの北部ブロックで1位、5月には米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催された「インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)2017」で見事3位に輝いた。

 フイさんは、中学3年生の頃から義手ロボットのアイデアをあたため続け、高校1年生のときに製作に着手した。フイさんのアイデアは、地元のクアンチ省で多くの人が不発弾や交通事故などにより腕を失っていることに発している。しかし、外国製の義手は高価で手が届かないため、貧しい人でも手に入れられる安価な義手ロボットを自ら製作することにしたのだという。

 フイさんの父親はバイクの修理をし、母親は市場でライチを売っている。裕福な家庭ではないが、父親のバイク修理店こそがフイさんの発明者としての夢の一片を生み出した場所だ。バイク修理店にはたくさんのスクラップや機械があり、フイさんはまずこうしたスクラップを使って義手を作り始めた。最初の試作品は柔軟さと精緻さに欠けていたが、高校1年生の時にようやく製作に成功した。

 ここ数年、フイさんの小さな部屋はたくさんの工具や材料であふれており、まるで工場のようになっている。フイさんの祖母は、「フイは義手作りに没頭するあまり徹夜することもしょっちゅうです。寝なさいと声をかけても、義手に何か問題があると『解決策を見つけるまで寝られない』と言うんです」と語る。



 フイさんは、ベトナムと世界で認められたオリジナルの義手ロボットの完成までに1年近くを要した。しかし、フイさんが義手ロボットの製作にかけた費用は合わせてわずか約300万VND(約1万4900円)だという。

 フイさんの義手ロボットはプラスチック製で、本物の大人の手のように5本の指がついており、それぞれの指を曲げ伸ばしたり、手のひらを裏返したりすることもできる。操作は、これもまた自作のセンサーの付いたゴム製サンダルを履いて、足の指で義手ロボットの指を動かす仕組みだ。

 国家レベル科学技術コンテストに出品したこの義手ロボットには審査員も感銘を受け、実際の応用に向けた可能性を評価した。フイさんは、「僕にとって最も大きな夢は、引き続きこの義手ロボットの完成度を高め、障がい者の日常生活をより便利にすることです」と話す。

 「インテル国際学生科学技術フェア」でめでたく3位に入賞したフイさんだったが、大会出場に至るまで一筋縄にはいかなかった。大会参加に向けてフイさんと指導教員が米国行きのビザを申請するも、条件を満たしていないとして2回も許可が下りなかったのだ。三度目の正直で大会直前にフイさんのみ許可が下り、なんとか大会に出場することができた。

 このため、今回の受賞はフイさんだけでなく、フイさんの家族や学校関係者にとっても喜びもひとしおの結果となった。フイさんは今回の受賞について、「まさか受賞できるとは思ってもみませんでした。みなさんの助けがなければこのような結果は得られませんでした」と喜びを語っている。 

[Quoc Nam, Tuoi Tre, 20/03/2017 17:31 GMT+7, A]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる