[特集]
本好き学生に人気の「読み聞かせ」バイト、世代をつなぐ架け橋に
2017/05/07 05:17 JST更新
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チラシ配りや個別指導、プロダクトマーケティングといったアルバイトのほか、「読み聞かせ」が一部の学生たちの間で人気を集めている。
ホーチミン市のサイゴン大学に通うキム・アインさんは、「色々なアルバイトを経験してきましたが、最終的に読み聞かせのアルバイトに落ち着きました。あまり多くの時間を必要としませんし、柔軟に対応することができます。更に、音読を通じて声や表現力を鍛えることもできます」と話す。
キム・アインさんと同じくサイゴン大学に通うラン・フオンさんは語る。「教師を定年退職した女性が近所に住んでいるのですが、先生は本が大好きで、特に文学を好んでいます。先生のところへ遊びに行った際、1冊の本を読み聞かせて欲しいと頼まれました。私は音読しながら先生と話し、先生はインスピレーションを与えるような読み方を教えてくれました。そうして暇な日は先生のところへ行って本を読むようになりました。収入は朝ごはんを食べるのに足りる程度ですが、得られる知識はとても多いです」。
読み聞かせアルバイトは、学生たちに収入だけでなく有益な知識も与えてくれる。アルバイトの時給は平均5万~6万VND(約250~300円)で、読む本は聞き手がリクエストしたものだ。
良い読み手になるため、学生たちは自発的にたくさんの本を読み、声を鍛え、客の心理をとらえなければならない。始めたばかりの頃は面白みを感じないかもしれないが、続ければ続けるほどはまってしまう。
中でも学生たちの間では、読書が困難な高齢者のための読み聞かせが新たなトレンドになりつつある。ホーチミン市工業大学に通うトゥイ・ズオンさんは、「私はいつも60歳以上の高齢者のために本を読みに行っています。よく読むのは文学や人類学の本です。聞き手は高齢者なので、はっきりと簡潔に読まなければなりません。あまりにも長い部分はいったん区切って、読み手と話すようにしています」と語る。
身寄りのない高齢者や読み書きのできない人に本を読み聞かせることもある。トゥイ・ズオンさんは続けて話す。「小学校の学習も終えていないおじいさんに本を読み聞かせています。おじいさんは戦争の本が大好きなんです。幼い頃から生活費を稼ぐために学校へ行っておらず、年老いてから色々なことが知りたくなったそうです。私は週に2回、時間を作っておじいさんのところへ本を読みに行っています。おじいさんは経済的に苦しいので、お金は受け取っていません。本を読みに行くと毎回おじいさんはお茶を入れて、昔話を聞かせてくれるんです」。
しかし、読み聞かせは良いことばかりでもなく、気難しい客や読み方に対して要求の高い客、そして「大人向けの本」を読むよう強要する客もいる。友人の紹介を受けて40代の男性のところへ本を読みに行った女子学生は、当初「歴史の本」を読むはずだったにもかかわらず「大人向けの本」を読むよう強要され、断ると罵声を浴びせられたのだという。女子学生は危険を感じて友人に迎えに来てもらい、その場から逃げて無事だった。
時にリスクも伴うが、読み聞かせは本が好きな多くの学生たちを引きつけている。ホーチミン市交通運輸大学に通うレ・ブオンさんは、「本が好きな人たちと読み聞かせを求める人たちをつなぐため、フェイスブック(Facebook)ページを立ち上げました。困難は少なくありませんが、本が好きですし、わずかながら収入にもなるので頑張っています。本は、私たちのような若い世代と前の世代をつなぐ架け橋のようなものなんです」と嬉しそうに語った。
[Duc Chi, Thanh Nien, 05:42 AM - 05/05/2017, A]
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