[特集]
美容室を起業したろうあ者の青年、同じ障害を持つ若者に就業の機会を創出
2017/02/12 05:46 JST更新
(C) Thuy Hang, Thanh Nien, 客のカットするタインさん |
(C) Thuy Hang, Thanh Nien|美容室を起業したろ うあ者の青年の挑戦 |
(C) Thuy Hang, Thanh Nien|美容室を起業したろ うあ者の青年の挑戦 |
ハノイ市の中心地にろうあ者の青年が起業した美容室「タイングエン(Thanh Nguyen)」がある。店主は東北部地方バクザン省出身のグエン・タイ・タインさん(男性・26歳)。店名はタインさんの名前をそのまま使っている。
タインさんは高校を卒業後、自活する手立てとして美容師を志した。省内を自転車で回り人々の髪の毛を無料でカットして技術を身に着け、ハノイ市の美容室での見習いを経てホーチミン市でも働いた。
2011年、21歳になったタインさんはドンダー区トンドゥックタン通りバンチュオン道55番地(55 Van Chuong Lane, Ton Duc Thang St., Dong Da Dist., Ha Noi)に初めて自分の店を持ち、今日に至るまで地域への貢献を評価され幾度となく表彰されてきた。
現在ドンダー区の店は改装中のため、バーディン区キムマー通り82番地(82 Kim Ma St., Ba Dinh Dist., Ha Noi)に仮店舗を構えているが、客はみな何kmも遠くなってしまってもタインさんの店に通い続けているという。
「どんな髪型にするか、ブローやトリートメントはどうするかを髪に書くだけで、思い通りの髪型にしてくれるのよ」と常連のニュンさん(女性・26歳)は話す。
この日ニュンさんはホアンキエム区に住む叔母も連れて来ており、「女の子が優しく髪を洗ってくれて、肩のマッサージもしてくれたわ。濡れてしまった襟元もドライヤーで乾かしてくれて。家からは少し遠いけど問題ないわ!」と満足の様子。
カット台に座ってA4の紙に「パーマをかけてほしい」と書いてタインさんに渡したのはバオ・アインさん(女性・29歳)。紙を見たタインさんは直ぐに「あなたの髪の毛は自然なウェーブがありますから、お顔に似合う新しいヘアスタイルにしてみませんか?」と返すと、バオ・アインさんはウィンクで答え、カットが始まった。
バオ・アインさんがタインさんの店に通うようになって2年、月に1~2回はシャンプーやトリートメント、カットに訪れている。「店員さんたちには話すことができても聞くことができない人、その反対の人もいます。でもみんな技術はしっかりとしていてとても満足しています」と話すバオ・アインさんは、友人たちにもタインさんの店を勧めているそう。
タインさんの店は人通りの少ない小さな路地にあるにもかかわらず、朝10時には満席になり順番待ちをする客の姿もあるほどだ。客の年齢層は幅広いが20~50歳の健常者の女性が多く、ろうあ者は少ないという。また、手話を使える客はごくわずかでほとんどは筆談で会話し、店内にはテレビから流れる音にドライヤーやハサミの音が響く。
タインさんの店ではタインさんともう1人の従業員がカットを担当するほか、9人の見習いが働いている。一番長く働いている見習いはクアンさん(18歳)、ロンさん(21歳)とアインさん(17歳)は見習い1か月の新人だ。閉店後は店の隣に借りている一軒家で従業員揃って料理を作り、食事をしながら語らうという。
タインさんは今後、ドンダー区の店の改修工事が終わっても仮店舗はそのまま残し、2店舗を同時経営する予定だ。従業員を増やし、見習いもたくさん受け入れることで、同じ障害を持つ人々に仕事のチャンスを創り出せればと、タインさんの挑戦は続く。
[Thuy Hang, Thanh Nien, 08:07 AM 31/01/2017, T]
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