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[特集]

「折り紙」に魅せられて、ベトナムで本を出版した芸術家

2017/01/15 05:01 JST更新

(C) thanhnien
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 折り紙と言えば誰でも日本人を思い浮かべるだろうが、この折り紙の分野で才能と創造力に溢れ世界的に有名なベトナム人がいる。  ホーチミン市ビンタイン区にあるアートセンター「トアタウ(Toa Tau)」で開催されている折り紙芸術家グエン・トゥー・トゥアンさんの折り紙教室に通ったことがなければ、もしくは同氏の初めての著書「オーシャン・オリガミ(Ocean Origami)」を手に取ったことがなければ、この話を信じることは難しいかもしれない。  初めて出版した著書が大成功を収めた後、トゥアンさんはクラウドファンディングで資金を募り、2作目となる「地上の動物折り紙(Origami Dong vat tren can)」を出版した。本の中だけでなく、何千ものビデオクリップでも折り方を紹介し、同プロジェクトの目標を達成した。  「この本は野生動物と家畜をテーマに集めた折り紙の本です。本の写真かビデオクリップで私の折り紙を見てもらえれば、実物そっくりだと感じてもらえるでしょう。この本が世界中の折り紙の本と異なる点は3つあります」とトゥアンさん。  「第1に、折り紙芸術において、本に書かれている見本の形の大部分は折るのが難しく、多くの工程があります。しかし、私の本に書かれている見本の形は親しみやすく、とてもシンプルな工程で誰でも作ることができます。  第2に、折り紙で遊ぶことは紙を折ることだけに制限されるものではありません。私は皆さんの周りにある自然の生活を伝えたいのです。そのため動物の動きを注意深く研究し、たくさんの動物の写真を集めました。また、折り紙の見本に合わせて、折り紙の背景も精巧に作りました。

 私は折り紙を親が子どもと遊ぶためのツールにしたいと考えています。子供たちの興味を呼び起こすため、様々な種類の動物を作ることにも注力しました。折り紙で遊びながら、親は子供に「この動物はこの姿勢で立っているのに、どうして向こうの動物は違うんだろうね?どうして豚のお母さんは豚の子どもより大きいんだろうね?」などと問いかけることもできます」。  トゥアンさんの本の巻末には、濡らして折る折り紙の付録も付いている。「第3に、濡らして折る折り紙は新しい技術で、長きにわたり専門家だけが使う技術でした。この方法では、水彩画を描くときに使う紙を使います。この技術で折ると、動物は躍動的に見えて、普通に折る折り紙とはまるで違って紙の彫刻のようになります。海外の折り紙の専門家でもこの技術を使っている人は少なく、この技術が私の本の大きな特徴となっています」とトゥアンさんは教えてくれた。  トゥアンさんによると、子供が折り紙で遊ぶ際に重要なことは「創造力を伸ばすこと」であり、「見本通りに作ることを強いるのは間違い」なのだという。例えば、トゥアンさんが作るカニの見本は柔軟で、子供たちはカニの脚をハサミより大きく折ったりして、好きなように折ることができる。トゥアンさんの折り紙教室に通う子供たちは、「このカニは怪我をしているから」とカニのハサミや脚を折らず、カニの目だけ折ることもあるという。  この折り紙芸術に魅せられたきっかけについてトゥアンさんは教えてくれた。「誰でも小さなときに紙飛行機を折ったことがあるはずです。私もそうでした。父が紙飛行機の折り方を教えてくれて、その後自分で工夫して折り方を学びました。2005年に私は折り紙協会に加入しました。折り紙協会では、皆で経験を共有し、新しい技術を学びました。次第にオリジナルの折り紙を作れるようになり、独自のスタイルを確立していきました」。

 トゥアンさんは折り紙本のコレクターでもあり、世界中の1000冊に及ぶ折り紙の本を持っている。「それぞれの本にはそれぞれの思い出があります。これらの本を入手するのは決して簡単なことではなかったので、私はその本をどのようにして手に入れたのか、よく覚えているのです。日本で出版され、日本国内でしか販売されていない本もあります。  本の収集は、私のベトナムでの折り紙本の執筆にとても役に立っています。本をたくさん読めば読むほど、何が面白くて何がつまらないのか、自然に内容が入ってきます。面白いものは学び、つまらないものは避けます。自分のスタイルができてしまっていると、他人から影響を受けることが難しいのです」。  トゥアンさんは自分のスタイルについて、翼のある馬(ペガサス)の例を挙げて説明してくれた。「初めてこの動物を折った時、4本の脚、頭、尻尾と2枚の羽を作りました。他の人が見れば美しいと言ってくれたかもしれませんが、私にとっては何ら特別なものではなかったのです。  『どうしたら他の人が見たときに私が作ったペガサスだとすぐにわかってもらえるだろうか』と考えました。私は『可愛いペガサス』を作りたかったのです。可愛いとはどのような形だろうか。ペガサスの特徴は2枚の羽です。私は小さなピンク色の羽が付いた馬を考え出しました。この形を作ってもまだ満足できず、さらに美しい形に作り直すことにしました。  私にとって『美しい』とはバランスが取れていることで、馬の形を美しく折るには脚を長くして折る必要がありました。そこで、私はフィルム紙を使って折ってみました。そうすると馬に光が差し込み、まるでおとぎ話の中から出てきたように美しい馬になったのです」。トゥアンさんは、こうした研究を積み重ねて自分のスタイルを確立し、プロとしての道を歩んでいる。 

[Diem Thu, Thanh Nien, 04:00 PM - 11/12/2016, A]
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