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[特集]

1900年代前半のサイゴン、航空分野参入の歴史

2016/11/20 05:46 JST更新

(C) thanhnien, 資料写真(Gia Tam Thai), 1925年にサイゴンに着陸したフランスの飛行機
(C) thanhnien, 資料写真(Gia Tam Thai), 1925年にサイゴンに着陸したフランスの飛行機
 1910年12月10日午前10時30分、フランスのかつての航空機メーカーであるファルマン(Farman、1908年から1936年まで航空機を設計・製作)製飛行機が初めてサイゴンの空を飛んだ。飛行機は空中を何度か旋回し、人々はかつて誰も見たことのない光景を目にしたのだった。  その後、飛行機は競馬場(現在のホーチミン市8月革命通りにあるベトナム人民軍傘下の同市軍事指揮部)に着陸した。その飛行機を操縦していたのは、バン・ベン・ボーグというパイロットだった。  飛行機がサイゴンに初めて着陸したというニュースは、コーチシナ(フランス植民地時代のベトナム南部に対する呼称)総督からハノイ市の総督府にも伝えられた。  当時のフランス領インドシナ総督アルベール・サローはこれに感銘を受け、民衆の反乱に対処するために軍事目的で飛行機を使用することを提唱した。翌年には、フランスに専門家の代表団が派遣され、植民地(ベトナム)の航空部門への参入に向けて調査が行われた。  第一次世界大戦(1914~1918年)中、ヨーロッパでは飛行機が戦闘に使われた。この時に参戦していたフランス人士官の数人が後にコーチシナへ戻り、歩兵兵舎で飛行クラブを立ち上げた。彼らはフランスで部品を買い、サイゴンに持ち込んで組み立て直し、チョロンまで飛んで戻るデモンストレーションを行った。

 離着陸の時には、パイロットが風向きを知ることができるよう地上で煙を炊かなければならなかった。当時の飛行機は飛行速度も遅かったが、目にした人々を驚かせ、そして楽しませていた。  フランス領インドシナの航空部門への参入が実現したのは、1917年1月31日のことだった。北部政権が旧ソンタイ省(現在のハノイ市、紅河デルタ地方ビンフック省、東北部地方フート省、同トゥエンクアン省の一部)にビトゥイ空港を建設し、初の軍用機がハイフォン港(紅河デルタ地方ハイフォン市)に持ち込まれた。1917年7月13日、フランス領インドシナ総督は、同総督の指導下にインドシナ航空局を設立することを決定した。  1919年11月20日には、水上機の飛行が始まった。コーチシナ飛行隊が正式に設立された後、サイゴンのフランス植民地政府はタンソンニュット空港(現在のタンソンニャット国際空港)の建設に着手した。  「タンソンニュット」はサイゴン北部、中心部から5kmほど離れた高台にあった村の名前だった。1920年、航空部門は空港建設のためにタンソンニュット村の大部分の土地を取得した。  当初、タンソンニュット空港は軍用のみに使用され、かつて農耕地だった土地に1本の滑走路があるのみだった。軍用空港だったタンソンニュット空港では、1921年1月10日にハノイ~サイゴン~ハイフォン~シエンクワーン県(ラオス)間の往復が始まった。ハノイ~サイゴン間の直行便は1921年4月19日に運航が開始されたが、当時の飛行時間は8時間半だった。

 1930年になると、ようやくフランスのかつての航空会社エア・オリエント(Air Orient)用の施設ができ、1934年には滑走路も舗装され、ターミナルの建設も始まった。  初めての国際線の運航は、フランスの航空会社エールフランス(Air France)が運航したパリ(フランス)~サイゴン~パリ間の便で、1933年12月28日に最初の便がサイゴンに着陸した。当時はまだ夜間飛行ができなかったため、同区間の運航には50時間かかった。  そして1937年12月2日、フランス領インドシナ総督は民用航空局に代わりインドシナ民用航空局の設立を決定し、新規航路の開拓に当たることになった。  こうして、第二次世界大戦がアジア太平洋地域にまで及んでくる1940年までに、フランスの航空会社が運航するインドシナ~パリ間、オランダの航空会社によるサイゴン~シンガポール~インドネシア間、英国の航空会社によるハノイ~香港~ペナン間、ヨーロッパ・アジア系の航空会社によるハノイ~中国・雲南間、中国の航空会社によるハノイ~香港~重慶間など多数の国際線が就航し、ベトナムにおける航空分野の発展が加速されていった。 

[Nguyen Dinh Tu, Thanh Nien, 07:38 AM - 02/08/2016, A]
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