[特集]
国際生物学五輪で16年ぶり金メダルの女子高校生、夢までの道のり
2016/07/31 05:03 JST更新
(C) vietnamnet, チンさん |
(C) vietnamnet, チンさんとブー・ドゥック・ダム副首相 |
ハノイ市で7月に開かれた「
第27回国際生物学オリンピック(IBO 2016)」で、ベトナム代表の高校生4人全員がメダルを獲得した。この中で、ベトナム代表として16年ぶり、通算2個目の金メダルを獲得した女子高校生が注目を集めている。
金メダルの快挙を成し遂げたのは、ハノイ市国家大学自然科学大学付属高校のブー・ティ・チンさん。ベトナム代表の金メダル獲得は2000年以来16年ぶりのことで、1996年の初出場から通算2個目となる。
チンさんは紅河デルタ地方ハイズオン省ビンザン郡出身。生物学に興味を持つようになったのは、生理的変化や人、周りの全ての物事について知りたいという好奇心からだった。生物学に情熱を抱くチンさんは中学3年生の時、両親を説得しハノイ市国家大学自然科学大学付属高校を受験することに決めた。
そこでチンさんは自立した生活に慣れるため、1人で故郷を離れて寄宿舎に入った。実家から遠く離れて勉強するのは辛かったが、最初から「いつか国際舞台で金メダルを獲得する」という夢を抱き続けていた。
チンさんの母、ニュー・ティ・チュオンさんは今回の金メダル獲得について、娘がずっと抱いていた夢を実現したことが何よりもうれしいと話す。チュオンさんによると、チンさんは行儀も良く努力家で、幼い頃から両親をとても大切にしてきたという。「私たち家族は農民で、チンは小学校5年生の頃から、学校を終えて帰宅すると私たち両親の手伝いをしてくれました」。
チンさんの金メダル獲得の快挙についてたずねると、チュオンさんは「先生方と学校のおかげです」と繰り返した。家族は農業に従事しており子どもを育てる十分なお金もないため、「これ以上、娘をこの高校に通わせ続けることはできない」と考えたことも少なくないという。
チンさんが高校3年生になったばかりの頃、チュオンさんはチンさんを故郷に連れて帰ろうとした。「私はチンに、『もしこの高校に通い続けるのであれば、学費を払うことはできないよ』と話しました。チンは何も言わず同意して、家族の節約のために高校を辞めて故郷に帰るだろうと思っていました」とチュオンさん。
しかし、チンさんに特別目をかける担任の先生の説得により、家族は引き続き高校へ通うことを許したのだった。「チンへの仕送りが間に合わないことも多いのですが、そんな時は先生が自費で助けてくださるんです。チンもどうしても勉強したいというので、私と夫は腹をくくりました」。
2人の子どもを育てながら厳しい生活を送る中、チュオンさんは収入を増やすため、田舎からハイズオン市に出稼ぎに行くことに決めた。実家に帰れるのは週に1度だけだ。
母の苦労を裏切ることなく努力を続け、勉強に打ち込んだチンさんは、高校2年生の時に全国で最も優秀な学生に選ばれた。高校3年生の時は2位だったが、2年連続の受賞。そして今回、国際舞台での金メダル獲得という夢を実現した。
チンさんは、勉強方法について「最も重要なことは自分で勉強することです。1つの問題に直面したら、私はいつも自分で関連する質問を考えて、その問題をより深く理解できるように頑張って自分で答えを見つけるようにしています」と話す。
今後の計画についてチンさんは、ハノイ市医科大学の総合医学部を受験するつもりだと教えてくれた。将来は医者を目指しているという。ベトナム代表の女子高校生の夢は、まだまだ始まったばかりだ。
今回の国際生物学オリンピックには、過去最多となる世界71か国・地域の高校生264人及び教員238人が出場し、実験と理論の問題で競った。ベトナムは金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得した。これにより、ベトナムは1996年の初出場から、通算で金メダル2個、銀メダル11個、銅メダル47個を獲得したことになる。
[Thanh Hung, Vietnamnet, 24/07/2016 12:13 GMT+7, A]
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