[特集]
夏を迎えたハノイ、中古エアコン修理工は大忙し
2016/05/22 05:10 JST更新
(C) dantri, 中古エアコンを修理するヒエウさん |
(C) dantri, チャンフウトゥオック通り |
(C) dantri, 分解した中古エアコン |
(C) dantri, 生まれ変わった中古エアコン |
うだるような暑い夏が始まったハノイ市で、エアコンを修理する職人はこのところ大忙しだ。ここ数年、ハノイ市ドンダー区のチャンフウトゥオック(Tran Huu Tuoc)通りは、数十件の中古エアコン販売店が並ぶ「エアコンのリサイクル通り」として知られている。販売店は多いが、この周辺で中古のエアコンを修理する職人はたったの1人しかいない。1977年生まれのベテラン、ホアン・フイ・ヒエウさんだ。
人々の信頼も厚く、ヒエウさんには年間を通じて仕事が入る。ヒエウさんは毎月、ハノイ市での生活費を除いた2000万VND(約9万9500円)以上を北中部地方ハティン省に住む妻と子供に送っているのだという。特に夏を迎えてからのこの数日は、仕事が増え、収入も上がっている。
ヒエウさんは、中古エアコンの修理の手順を教えてくれた。まず、倉庫に持ち帰った古いエアコンを、各部品に分解して検査する。分解した全てのプラスチック部分と吹き出し口は、古くなった部分をカミソリで削った後、洗浄して、慎重に磨き上げる。
フィルターは、水と石鹸もしくは漂白剤で洗浄する。コイルや冷却フィン、ファンなどの部品は、ほうきや掃除機を使ってきれいにする。ラジエーターが曲がっていたら、専用の道具を使ってまっすぐに直す。古いエアコンを分解する過程でどこかの部品が壊れていたら、他の古いエアコンから部品を探し出して交換する。
ヒエウさんは、「この仕事は迅速さだけでなく、緻密さと正確さ、慎重さ、そして少しの創造性も求められます。また、それぞれのエアコンの内部は数十個の異なる小さな部品から成っており、各部品の働きも違います。仕入れる中古エアコンのほとんどが壊れた状態なので、交換する部品がない場合は作らなければなりません。でも、小さな部品はなかなか作ることができないので、遠く離れた地域からも私のところに修理の依頼が入るんです」と話す。
ヒエウさんは続けて語る。「たくさんの若い人たちがこの仕事を学ぶためにここへ来ますが、しばらくするとプレッシャーに耐えられず辞めていきます。例えば、古いエアコンの吹き出し口は壊れやすいので、新しいものを作らなければなりません。でも、エアコンに適合する形で、かつ同種のプラスチックでなければ使えません。吹き出し口1つを取っても、経験がないと作ることができないのです」。
現在、ハノイ市の中古エアコン市場は活気に満ちている。信頼できる中古エアコンのブランドと言えば、やはりナショナル(National)、パナソニック(Panasonic)、富士通(Fujitsu)、ダイキン(Daikin)などの日本製だ。ある中古エアコン販売店の店主によると、日本製品は古くても品質が良く長期間にわたり使用することができ、消費者の信頼性も高いのだという。
現在、日本製の中古エアコンの価格は様々で、およそ600万~700万VND(約2万9900~3万4800円)のものから、1000万VND(約4万9800円)を超えるものまである。価格は性能や製造年によって変わるほか、保証期間も異なってくる。
それぞれの中古エアコン販売店の売り上げははっきりしないが、かなりの台数を捌いているに違いない。この通りでエアコンの運搬・設置業をしているトゥアンさんによると、ここ数日は毎日平均して6~7台の中古エアコンを運んでいるほか、トゥアンさんと同様にエアコンの運搬業をしている人もこの通りに数十人はいるという。これから暑さが本格化する中で、修理工のヒエウさんもますます忙しくなりそうだ。
[Tu Hung, Dan Tri, 05/05/2016 - 06:00, A]
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