ハティン省の「シジミ村」を訪ねて、甘くて美味しい村の特産 [特集]

　北中部地方ハティン省ドゥックト郡チュオンソン村ベンヘン村落は、その名の通りシジミ(ヘン＝hen)漁が盛んだ。この地域では、年間を通じてシジミ漁が行われているが、特に3月から4月にかけてがハイシーズンとなる。　300年以上の歴史を有する「シジミ村」は、ドゥックト郡を流れるラー川沿いに位置する。数世紀にわたり、この村の人々は、シジミを採集し売ることで生計を立ててきた。村の数千世帯のうち、現在も200世帯近くがシジミ漁に従事している。男女で役割を分担し、男性が採集して、女性が下処理をして市場へ売りに行く。　かつては、川の深さによって長さの異なる竹製の熊手を使ってシジミを採っていた。川が深ければ、熊手の長さは5mにも及んだ。現在は経済も潤い、多くの世帯がモーターボートや鉄製の櫂(かい)、網などを購入して、シジミ漁を行っている。1回の漁で採れるシジミの量は、各ボート平均数百kgだ。　採れたシジミは、混入した草などのゴミを取り除いた後、火にかけて下処理をする。火は薪を燃やす。シジミのたっぷり入った鉄鍋を強火にかけて、約30分かき混ぜ続ける。火が通ったら、熱いうちに籠へ移して、もう一度きれいに洗う。まだ殻のついているものは、ざるに入れて手で強くかき回して身を取り出す。

　この村でシジミ漁に携わるグエン・ティ・ティンさん(女性・62歳)は、「この仕事はとても大変で、夜遅く寝て朝早く起きることに耐えられる健康な体が求められます。3時間しか寝られない日もあります。昼間も大忙しですが、夕方に夫がシジミを採って帰って来たら、夜中3時ごろまでまた作業。翌日市場で売るために下処理をしなければなりません」と話す。　通常は夏に価格が最も上がり、殻つきのシジミが1kg当たり平均2万VND(約105円)、下処理済みのものが15万～20万VND(約789～1050円)/kg。他の時期は、殻つきが5000VND(約26.3円)/kg、下処理済みが6万VND(約316円)/kgとなる。　チュオンソン郡人民委員会のグエン・バン・トゥエン主席は、「シジミ漁はかなり安定した職業で、多くの世帯がハイシーズンで数億VND(1億VND＝約52万6000円)もの収入を得ています。郡は協同組合を設立し、皆が安心してこの代々伝わるシジミ漁に従事できるよう支援しています」と語る。　シジミは、ライスペーパーの煎餅と一緒に食べるシジミ炒め(Hen xao xuc banh da)や、シジミご飯(Com hen)のほか、サラダや鍋、お粥などに使われる。特にこの村のシジミは、他の村で採れるものと大きく異なり、泥臭くなく甘みがあってとても美味しいのだという。

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