[特集]
種なし果実栽培で年収1.6億円!農民の億万長者への道
2015/12/13 06:03 JST更新
(C) dantri, セーさんと種なしレモン |
(C) dantri, セーさんと種なしザボン |
ベトナムで種なしレモンや種なしザボンを栽培し、「種なし果実のボス」と呼ばれている農民の老翁がいる。東南部地方ビンズオン省バックタンウエン郡に住むレー・バン・セーさんだ。種なし果実の栽培で、セーさんの年収は300億VND(約1億6500万円)に上っている。
タンウエン町及びバックタンウエン郡は、東南部地方における果物の産地として知られている。ここに住むセーさん一家も、他の地元住民と同様に果実栽培で生計を立てている。1980年代に家業を継ぎ、親から1haのオレンジ農園を受け継いだ彼は、30年かけて農園の面積を110haまで拡大し、柑橘類の果実栽培の達人として全国的にも有名だ。
「お金になる」果実を求めて、セーさんは若い頃からメコンデルタ地方や南中部高原地方など全国各地を駆け回り、気候や土壌を含めて果実の栽培について学びながら、自分の農園でも試験的に栽培を行っていた。これといったものがなかなか見つからず苦悩の日々を送る中、彼は海外渡航を決意し、シンガポールでやっと本命の果実に出会った。
シンガポールで出会った本命の果実。それは、米国産の種なしレモンだった。「カクテルに添えられたレモンを見て値段を尋ねると、米国から輸入したもので、1個5USD(約610円)という答えが返ってきました」とセーさんは語る。
シンガポールから帰ったセーさんは、一家の貯金をはたいてまた旅に出ることにし、今度は米国を訪れた。シンガポールから持ち帰った種なしレモンを手に米国の地に立った彼は、運よくカリフォルニア州で苗木100本を購入することができた。税関検査で苦労する場面もあったものの、苗木は無事にベトナムへ輸送された。
米国から輸入したたった100本の苗木から、これまでに10万本もの苗木を繁殖させてきた。自分の農園で栽培するだけでなく、全国各地にも売り出している。セーさんが保有している種なしレモンの栽培面積は40haにも及び、毎年100~120億VND(約5490万~6630万円)の安定した利益を生み出している。
また、ベトナム安全農産物生産基準(Vietnamese Goods Agricultural Practices=VietGAP)及びグローバルGAP(適正農業規格)をクリアしているため、セーさんの農園で栽培された種なしレモンは国内で販売するだけでなく、米国やシンガポール、日本などの品質に厳しい市場にも出荷し、順調に販路を広げている。
レモンから始まった種なし果実の栽培だが、セーさんは種なしザボンも栽培している。種なしザボンも、これまでに10万本もの苗木を生産してきた。彼が保有する種なしザボンの栽培面積は30haで、毎年150億~180億VND(約8290万~9940万円)の利益を生み出している。
セーさんは、種なし果実は生産性が高く、ベトナムの農民をより豊かにすることができるとの思いから、国内で栽培する種なし果実の種類を増やすことに絶えず尽力している。最近は、米国とオーストラリアから種なしオレンジを輸入し、40haの面積で試験的に栽培している。2016年にも、ベトナム産の種なしオレンジを初出荷する予定だ。
セーさんは、ベトナムの農業に大きく貢献したとして国から称えられ、12月上旬にハノイ市で開催された2015年度第9回愛国者全国大会で「経済活動優秀者賞」を受賞している。
[Dan Tri, 07:00 (GMT+7) 08/12/2015, A]
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