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[特集]

ハノイのシネマ・パラダイス時代を振り返る、映画館の歴史

2015/11/29 06:01 JST更新

(C)VnExpress,st.かつてのタンタム映画館
(C)VnExpress,st.かつてのタンタム映画館
 ベトナムに複合映画館(シネマコンプレックス)「メガスター(現在のCGV)」が誕生したのは10年ほど前。それ以前のハノイの「シネマ・パラダイス」時代を振り返る。  1950年代後半から、ハノイ市では、◇ダイドン、◇ダイナム、◇メーリン、◇キンド、◇ザンチュー、◇マジェスティック(タンタム)、◇キムドン、◇ゴックカイン、◇シンビエン、◇ダンズン、◇バックマイ、◇ファフィルムシネマ、◇ファンズランド、◇国家映画センターなど、20館近くの国営映画館が次々と建設された。  当初上映されたのは、ベトナム革命を描いた映画や、旧ソ連や旧チェコスロバキアなど社会主義国の映画だった。タンタム映画館と国家映画センターは、当時最もぜいたくな映画館と見られており、1980~1990年代にかけてインドや香港の映画が多く上映され、チケットが飛ぶように売れた。タンタム映画館では徹夜組やダフ屋が出るほどだった。  児童会館にあったカンクアンドー映画館では子供向けやアニメ映画が、ゴックカイン映画館では市内で最初に3D映画が、ファフィルムシネマではハリウッド映画が多く上映された。1990~2000年代にかけて、ザンチュー映画館は入場料金を下げたことで多くの生徒や学生でにぎわった。

 いくつかの映画館では、映画クラブの活動が盛んになった。1994年に生まれた小さな映画館ファンズランドは、世界の古典的映画や欧州の芸術映画を上映し、その後に作品や監督の解説を行った。ファフィルムシネマの映画クラブは、最新の娯楽映画を他に先駆けて上映することで人気を呼んだ。  2000年代に入ると、インターネット上に多くの映画フォーラムが開設された。映画好きの若者らがオフ会で映画を上映し、意見を交換した。クアンドイ映画館はそうした人達が集まる場になった。  設備が整った民間の映画館が出現するのは2005年からで、国営の映画館は分が悪くなった。タンタム映画館は改修後に以前の名称「マジェスティック」に戻したが、民間映画館に比べると設備面で見劣りがする。市内中心部という絶好の場所にあるが、以前の活気は見る影もない。  ダイドン、メーリン、キンドの3つの映画館は閉館し、バーやゲームセンターなどに姿を変えた。ダンズン、バックマイ、クアンドイ、ゴックカインなどの映画館はまだ存在しているものの青息吐息。ザンチュー映画館は11月23日に閉館したばかりだ。時代の流れとはいえ、かつてのパラダイス時代を知る人は残念に感じている。  

[VnExpress,25/11/2015 | 00:12 GMT+7,O]
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