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[特集]

メコン川初のエコ遊覧船!オヤジ4人のソーラーボート開発奮闘記

2015/11/08 06:00 JST更新

(C) vnexpress, テックマートに出展した模型
(C) vnexpress, テックマートに出展した模型
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(C) vnexpress, リエムさん
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 10月にハノイ市で開かれた展示会「テックマート(Techmart)2015」で、メコンデルタ地方ドンタップ省タップムオイ郡チュオンスアン村在住のフイン・ティエン・リエムさんが出展した、ソーラー発電で航行するボートの模型が大きな注目を集めた。

 これはリエムさんと友人のフイン・バン・チャンさん、タイ・バン・ホアンさん、グエン・バン・ズンさんの4人が作ったものだ。これは、晴れた日には、ガソリンを使うこともなく、騒音も立てず、水も汚さずに水面を進むことができる。

 リエムさんはソーラー発電設備の店を経営しており、ソーラーパネルをよく組み立てていた。その折に立ち寄っていた生態観光区で、観光客を乗せる遊覧船がガソリン式で、騒音や排気を出し環境を汚染しながら航行しているのを見て、彼は太陽光をエネルギーとして使う遊覧船の開発を思いつく。

 この船の開発には、ソーラー発電に精通していることと、機械工学や船舶に関する知識が必須だ。リエムさんは一緒にやってくれる人を探したが、乗ってくる者はいなかった。実現が難しく、時間もかかりそうだったからだ。結局、機械工学を専門とする3人の友人を誘って取りかかることにした。

 4人の職人たちは、持ち場は異なるものの情熱は共有し、それぞれが船を作るプロセスの一部分に責任を持っていた。リエムさんはソーラーパネルと電気回路と発動機の部分を担当し、ズンさんは機械部品の結合、ホアンさんはスクリュープロペラを担当。そして部品を組み立てて船を完成させるのがチャンさんの仕事だ。

 リエムさんいわく、着手してから完成までに3か月がかかったという。不調や故障はしょっちゅうで、約1億VND(約54万6000円)をつぎ込んでもなお不安定なものしかできず、4人をがっかりさせた。



 組み立て終わると4人は勇んで川へ行き試験航行をするのだが、バッテリーに蓄えた太陽光エネルギーがすぐに切れてしまう。岸辺で見物する者たちは、「あのオンボロ船はまったく使えやしないよ。歩くよりも遅い船があるかい」と笑った。

 リエムさんはそれでも、自分たちはまだ正しいところに行き着いていないから成功しないのだ、欠点を克服すればよいのだ、とチームの皆を励まし続けた。

 そして彼らは、AC電源の発動機を使用することがバッテリーを多く消費する原因で、更に危険も伴うということを突き止めた。発動機をバッテリー式に変えると電気の消費量が減り、船の航行時間は伸びた。ホアンさんは、船がより速く進むようにスクリュープロペラを改良した。

 何十回も試行錯誤を繰り返し、船は次第に水面を進むようになっていった。リエムさんがドンタップ省科学技術局に報告すると、同局は6月はじめに川での試験航行の機会を設けた。同局の指導者ら自らが乗船し、人が漕ぐ必要もなくエンジン音も少ない船の試験航行に立ち会った。

 船にはバッテリー2台、発動機1台、ソーラーパネル2枚が搭載されている。航行時には、この2枚のソーラーパネルからエネルギーがバッテリーを経由して発動機に送られる。船の載荷重量は約500kg(定員6人と設備の重さ)、最高速度は時速15kmで、川の流れの方向によって変わる。流れに沿うと、より速く進む。

 晴れている時は連続して進むことができ、太陽が隠れてもバッテリーからの電力で3時間程度、約40kmは進むことができる。販売価格は1億4千万VND(約76万5000円)、10年以上の耐久性だ。リエムさんの目下の悩みは、外見がまだ目を引くようなものではないことで、より美しく印象的な姿にするためにデザイナーと協力したいと考えている。



 4人による船は、メコン川で初めての観光資源開発にもつながるグリーンエネルギー搭載の乗り物として評価されている。チャムチム国立公園は1隻を試験的に導入したが、6隻を追加で予約し、11月にもエコツーリズム市場へ参入する。

 ドンタップ省文化スポーツ観光局のゴ・クアン・トゥエン副局長も、4人の船に試乗した1人だ。トゥエン副局長は「とてもスムーズな航行で騒音もしません。河川の各観光区がこれを採用すれば、燃料の消費量も減り、自然環境も汚さず、水生生物の保護にもつながるでしょう」と言い、チャムチム国立公園の結果次第ではガオゾンやセオクエットなど他の観光区でも導入に向けて研究に取り組んでいきたいと語った。

 テックマートでは、ハノイ市ミードゥック郡フオン寺の旅行会社が1隻を予約した。リエムさんは地形や水の流れを調査し、それに応じて船を微調整したという。

 「北部は南部よりも日照時間が少ないです。しかしこのソーラーパネルの原理は、高い気温ではなく日光を使うので、雨でも日光があれば船を進ませることができます。でも、より少ないエネルギー消費で高出力が可能なグリーンエネルギーの実現を目指して、改善を続けなければなりません」とリエムさんは語る。

 航行時間を伸ばしつつ速度を上げ、かつ価格を下げて製品を作るのは、観光のためだけではなく、人々の田畑への行き来や川の往来、水かさが増した時の移動手段としても使うためなのだと、彼は教えてくれた。 

[Phuong Hoa, VNExpress, 8/10/2015 | 08:12 GMT+7, A]
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