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[特集]

55歳のバナナ売り女性が法学士免状を取得、中高年の星

2015/06/21 07:30 JST更新

(C)VnExpress,Ho Nam
(C)VnExpress,Ho Nam
 メコンデルタ地方ティエンザン省ゴーコンタイ郡のビンビン市場の片隅で、バナナとアヒルの卵を売っている女性、ファン・ティ・キム・ホアさんは、「弁護士のホアさん」と呼ばれている。  市場の入り口でホアさんがどこにいるか尋ねると、すぐに「弁護士のホアさんならあそこだよ」と教えてくれる。当のホアさんは小柄で、今年55歳になったばかりだが頭髪は真っ白だ。  ホアさんは「ようやく法学士の免状を取ったばかりですよ。弁護士になるには、さらに6か月の勉強が必要ですから」と笑う。そう言いながら、古いかばんからカントー大学の学士免状と5月10日に行われた免状授与式の写真を見せてくれた。  ホアさんは若い頃、ホーチミン市のアオティムザーロン学校(現グエンティミンカイ中学校)に通っていた。1975年以後に、家族と共にティエンザン省に引っ越し、畑仕事をするようになった。その後、請われて幼稚園の教員も務めた。  ホアさんは当時について、「子供の頃テレビでカイルオン(ベトナム南部の古典芸能)を見て、貧しい人を助ける弁護士に憧れました。大きくなったら弁護士になりたいと思っていましたが、教員になるしかありませんでした」と振り返る。

 1994年に結婚し、1999年から生活費を稼ぐために市場で働くようになった。弁護士の夢は忘れ去っていたが、2007年に弟が殴り殺され、犯人がそれに応じた処罰を受けていないと感じたことをきっかけに、法律を学ぶ意欲が湧き上がったという。  2010年に省の教育センターで法学士コースを学び始めたが、各学期毎に20日間はセンターに出向かなければならない。早朝に売り物を市場に運んで隣の人に販売を委託し、午後に娘に引き取らせる方法で乗り越えた。夫は「免状など必要ない」と反対した。  さらに問題なのは学費だった。市場での売上と廃品回収で得た金額では足りず、かつて勤めていた幼稚園の園長先生に借金をお願いした。今も2000万ドン(約11万4000円)以上を返せずにいるという。それでも4年間耐えに耐えて、法学士の免状を取得した。  同じ市場で働くカオ・ティ・サーさんは「中高年になってから勉学に励むホアさんに、皆感服していました。本当に免状を取るなんて、ますます尊敬します」と話した。  「弁護士になった暁には貧しい人を助けたいと思います。農民が法律を知らないために不利益を被ることがないように」と語るホアさんは、なんとか学費を工面してこれからも弁護士になるための勉強を続けるつもりだ。  

[VnExpress,10/6/2015 | 09:43 GMT+7,O]
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