[特集]
金魚を描くベトナム人男性、日本人美術作家の作品に魅せられて
2015/05/24 06:45 JST更新
(C) thanhnien, アインさん |
(C) thanhnien, アインさんの作品 |
(C) thanhnien, アインさんの作品 |
日本人美術作家、深堀隆介氏の金魚を描いた立体アクリル樹脂作品に感銘を受けて、会社も辞めて金魚を描く方法を追求し、作品をベトナムから世界に発信しているベトナム人男性がいる。ホーチミン市に住むディン・トゥアン・アインさん(31歳)だ。
大学で美術を専攻していたアインさんは、大学卒業後、ホーチミン市の不動産会社でグラフィックデザイナーとしてフルタイムで働きながら、安定した生活を送っていた。しかし2011年のある日、アインさんの人生は大きな転機を迎えた。
2011年の末、イギリスのロンドンにあるICNギャラリーを訪れたアインさんは、開催されていた深堀氏の個展で同氏の作品と初めて出会い、信じられないほどの衝撃を受けた。深堀氏の作品は、枡などの器へ流し込んだアクリル樹脂に金魚を描いたもの。「こんなにも美しく独創的な作品は見たことがない。これは本当に人間が描いた『絵』なのか?」。アインさんは、その時の驚きを今でも鮮明に覚えているという。
鮮やかな金魚に一目惚れした彼は、「思い立ったらすぐ行動」とばかりに、ベトナムに帰国して間もなく会社を退職し、金魚を描く方法を研究し始めた。
美術学科出身の彼にとって絵を描くこと自体はそう難しくなかったが、画材の選定と制作プロセスの開発には苦労した。「水のように透き通ったアクリル樹脂を作り出すことが、深堀氏の作品のように美しい金魚を描くための第一条件。でも、これがなかなかうまくできず、もう辞めていっそオフィスワークに戻ろうと思った時もありました」と、アインさんは制作活動を開始した当初の悩みを語る。
3か月間にわたり努力を重ねた彼は、作品作りに最も適したアクリル樹脂の開発に成功し、本格的な制作活動に入った。器の中に1層目となるアクリル樹脂を流し込み、24時間経ってから固まった表面に1層目の金魚を描く。その作業を何回か繰り返して、最後のレイヤーとなるアクリル樹脂を流し込んだら出来上がり。こうしたプロセスで金魚を描き続け、2013年、ついに作品の商品化が実現した。
作品は全て手作業で、アクリル樹脂を固めながら制作するため時間がかかる。アインさんが1か月で制作できる作品は50~100点だ。最近では国内だけでなく海外にも出荷されており、その芸術性が高く評価されている。
[Thu Thao, Thanh Nien, 08:31 (GMT+7) 11/05/2015, A]
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