[特集]
ベトナム最古のサイゴン動物園、150年の歴史と変遷
2015/03/29 05:55 JST更新
(C) tienphong |
ホーチミン市1区にあるサイゴン動物園は、2014年に150周年を迎えた。この動物園はベトナムで最初の動植物園で、南部におけるフランスの植民地支配が始まってすぐの頃に開園した。
1975年以前、サイゴン動物園はまだ仏領時代の面影を保っていた。同市を流れるティゲー運河の両岸に横たわる20haもの広大な土地を有していたが、現在、片岸は住宅用地となり、1区側のみが動物園となっている。
動物園のトラの飼育場は、百数十年前と同じ場所にある。かつての鉄格子は今は強化ガラスに代わったが、一部だけ仏領時代からの鉄格子が残されている。飼育場はかつてのままだが、ゾウもトラも世代交代を繰り返した「末代」クラスだ。
昨今、多くの動物園が観光客を集める中、150年の歴史を持つ国営のサイゴン動物園も市場の影響を受けてシステムの改変を迫られている。
動物園の職員はこう語る。「2013年以降、私たちの関心はどれだけ入場料を集め銀行に納めることができるかということに終始しています。私たちの活動費はホーチミン市の管轄下にありますが、2014年から独自の収支管理方法に変えることを許可され、入場料による自己採算の努力を求められているところです。」
150年が経って、動物園は本来の市場原理に則した活動に立ち戻った。2013年までの入場料は1万2千VND(約67円)だったが、2014年には3万VND(約170円)に値上げした。しかし予想に反して来園客数は減らず年間200万人を維持し、入場料収入も倍増した。
市からの補助金がなくなり市場原理主義に移行した後の動物園を訪れてみると、人が集まり賑わう光景が広がっている。庭園は整備され、飼育場はどこも清潔だ。結婚写真を撮影するカップルもいる。
子どもを連れて来ていたある市民はこう言う。「今の動物園は清潔で綺麗で、動物臭いこともありません。動物たちも健康で毛並みもいいですし、以前のように嫌な感じもしません。」入場料は高くなったが、その価値は十分にあるという。
しかし、自主採算への移行は簡単ではない。毎年飼育代だけで50億VND(約2800万円)にも上るのだ。「2015年には入場料を5万VND(約280円)に値上げしなければならないでしょう。この値段でも160万枚売ってやっと活動費がまかなえるくらいです」と職員は語る。
150年の歴史を持つ動物園ということが大きな魅力となり、サイゴン動物園の来園客の3割は外国人だ。東洋の動植物を研究する国内外の大学生も多い。1930年にはタイの国王からゾウが寄贈され、それ以来タイ領事が毎年訪ねて来ているという。
動物園の来園客もまた、今の時代に即した動物の展示方法を望んでいる。動物園で働く人たちの能力を積極的に活用することが、多様な客の要求に応じながら絶えず刷新していくためには必要だろう。
サイゴン動物園では現在、ベトナムの希少種と固有種を含む500種類の植物と、150種類の動物が展示されている。動物園の150周年を祝う記念行事は、2015年中に開催される予定だ。
[Tran Nguyen Anh, Tien Phong, 13:07 04/12/2014, A]
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