[特集]
アジアパラ水泳で金メダル5個、ボー・タイン・トゥン選手の億万長者への道
2014/11/16 07:25 JST更新
(C)VnExpress,TTXVN、ボー・タイン・トゥン選手 |
(C)VnExpress,TTXVN、ボー・タイン・トゥン選手 |
韓国の仁川(インチョン)で10月18~24日に開催された「2014年アジアパラ競技大会」の水泳競技で、ベトナムのボー・タイン・トゥン選手が金メダル5個を獲得した。50m自由形、100m自由形、200m自由形、50mバタフライ、50m背泳ぎの5種目だ(クラスはいずれもS5)。
トゥン選手は1985年にメコンデルタ地方アンザン省で健康体で生まれたが、4歳の時にポリオにかかった。当時は経済的に困難な状況でワクチンを入手する手段がなかったため、足に障害が残った。家族は漁業を主とする生活をしており、トゥン少年は両手で移動しクーロン川(メコン川)で泳ぐ生活を送っていた。
就学年齢になって初めてトゥン少年は失ったものの大きさを知ることになった。高校卒業後にカントー市の技術短期大学に入学し電子技術を学んだ。「障害者といえども自立して自分の生活費を稼がなくてはいけない。人に頼っていてはいけないと考えました」
転機は2005年に訪れた。全国障害者スポーツ大会の予選会に出場したトゥン選手に、カントー市の水泳コーチが目を留めたことがきっかけだった。2005~2009年に障害者クラスS5の水泳競技では常にトゥン選手が王者だった。
次の転機は現コーチのドン・クオック・クオン氏との出会いで、国際大会での勝利が目標になった。「2009年ASEANパラ競技大会」で金メダル2個、銀メダル1個を獲得した後は、「2010年アジアパラ競技」、「2011年ASEANパラ競技」、「2014年ASEANパラ競技」などの大会でメダルの数を増やしてきた。今回の大会の活躍で、トゥン選手の名は国際的にも広く知られることになった。
かつてないこの快挙を称えて、文化スポーツ観光省スポーツ総局や各スポーサーはトゥン選手に10億ドン(約546万円)を贈呈することを決めた。トゥン選手はお金の使い道をあれこれ考えたが、すぐに受け取ることのできた1億ドン(約54万6000円)を、メコンデルタ地方カントー市ビントゥイ区で購入する予定の住宅資金に充てることにした。
パラ競技大会に出発する前、近所の人が住宅を譲渡する意向を示していた。住宅は面積約90m2で、これから結婚し子供を育てることを考えていたトゥン選手は、何としても手に入れたいと思っていた。家主が、これから受け取る賞金で残金を支払うことに同意してくれたため、トゥン選手は、コーチのドン・クオック・クオン氏から借りた金を足した計1億5000万ドン(約82万円)を保証金にして家を購入した。
苦難を乗り越えて億万長者となったトゥン選手。2016年にブラジルのリオデジャネイロで開催される次回パラリンピックでも、トゥン選手の活躍に期待がかかる。
[VnExpress,7/11/2014 | 16:09 GMT+7,O]
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