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[特集]

米バージニア州でベトナム農園を経営する「野菜おばさん」

2014/08/03 07:35 JST更新

(C)Thanh nien、ボックさん(右)と夫
(C)Thanh nien、ボックさん(右)と夫
 米国ワシントン首都圏に属するバージニア州フォールズチャーチ市で、ベトナム野菜の農園を営む越僑女性がいる。「野菜おばさん」とも「農園おばさん」とも呼ばれているが、本名はゴー・ティ・ボックさんという。現在の田舎のおばさん風の身なりからは想像しがたいが、約40年前の南ベトナム時代のサイゴンではその美しさで名を馳せていたという。  ボックさんは公務員の家庭に生まれた。両親は10人の子供(全て女の子)に恵まれたが、そのために生活は大変だった。ボックさんは長女で、家の手伝いをして両親を助けなければならなかった。  妙齢になると美貌と英語の能力のおかげで、一流ホテルでの仕事を得ることができた。給料はかなり良く、残業にも精を出してよく働いたため、ボックさんは一家の大黒柱になった。ところが、後方勤務の米軍兵士が彼女に夢中になりプロポーズ。家族の大反対に遭いながらも、2人は結婚し子供をもうけた。  1970年代初めに夫は米国に帰国したが、ボックさんはベトナムに残った。サイゴン解放が間近になった時点で、子供と共に夫の待つ米国に渡った。その後夫妻は2人の子供に恵まれた。ちなみに3人の子供は全て女性で、今では皆結婚し米国の各地で暮らしている。

 農園の話はここから。ボックさんは元々畑仕事に興味があったが、サイゴン時代には適わなかった。米国に渡ってすぐに小さな土地を手に入れて野菜を植えたが、この国の法律では農園を経営するには約8000m2以上の土地が必要と規定されている。  夫妻は広い土地を探していたが、1980年になって偶然現在の農園のある場所を通りかかって「売家」の看板を見つけた。交渉の結果、20万USD(約2030万円)という破格の安値で入手することができた。  当時は土地が荒れ放題で、今の姿にまで開墾するのに多くの労力と時間がかかった。土地を高価で買いたいと持ちかけてくる人は多いが、売るつもりは全くない。ボックさんは夫妻の終の棲家にしたいと考えている。  農園に植えられているのは柿やザボンといった果物のほか、カボチャ、ウリ、ズッキーニ、空心菜、クレソン、キャベツ、コールラビ、ツルムラサキなどの野菜、バジルやドクダミ、セージといったハーブ類で、購入客は主に近場に住むベトナム人だ。  長期契約を結びたいというスーパーもあるが、ボックさんは断っている。昔ながらの対面販売が好きなことや、ベトナム料理店や顧客に販売するだけで売り切れてしまうためだ。彼女にとって畑仕事をしている時間は、故郷で働いている感じがするという。「どうしても畑仕事がしたいのはそれが理由かな」。そう言ってはにかんだように笑った。  

[Thanh nien online,22/06/2014 09:00,O]
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