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[特集]

ロンビエン市場で真夜中にリヤカーを引く女性達

2014/03/09 07:29 JST更新

(C)Tuoi tre,M Tien
(C)Tuoi tre,M Tien
 街が眠りに沈む頃、暖かい家庭で夫や子供達に囲まれることなく、力仕事に精を出す女性達がいる。ハノイ最大の食品卸売市場であるロンビエン市場で真夜中にリヤカーを引く女性達で、近隣地方の貧しい家庭の主婦がほとんどだ。  真冬の深夜、ハノイの通りには人影が見当たらないが、ロンビエン橋のたもとにある市場は午前0時でも賑やかだ。荷を積んだトラック、バイク、自転車が次々と到着すると、数百人の女性達が争うようにリヤカーに荷を積み替えて運んで行く。仕事は夜10時から翌朝の夜明け頃まで続く。  紅河デルタ地方ナムディン省スアンチュオン郡出身のホアさん(48歳)は、500キロ以上のマンゴーを積んだリヤカーを引いていた。ホアさんはこの10年余り、雨が降ろうが熱帯夜だろうが毎晩市場に出ている。最初に300万ドン(約1万4600円)で買ったリヤカーはすっかり錆び付いている。  ホアさんはざらざらになった手の平を見せながら、「荷が重ければ重いほどお金になる仕事です。始めたばかりの頃は、手足がむくんで目も開けられないほど疲れましたが、そのうちに慣れました」と話す。きつい労働でも1回の運搬で稼げるのはわずか3万ドン(約146円)ほどで、1晩でも20万~30万ドン(約976~1460円)にしかならない。

 ホアさんがこの仕事を始めたのは、夫が亡くなって子供3人と両親の計5人を養わなければならなくなったためだ。子供の学費を稼ぐためには、病気になっても休めない。「牛馬のように働いて惨めですが、子供達が教育を受けて一人前の人間になって貧困から抜け出るよう願うだけです」  紅河デルタ地方フンイエン省アンティー郡出身のミエンさんは、知り合いとこの仕事を始めてから8年になる。妊娠8か月の時にも働いていたためか早産になった。子供が今病気がちなのは、そのせいかと少し気に病んでいるという。  ロンビエン市場のリヤカー引きには、ミエンさんと同郷の人が多い。1990年代に田舎で食い詰めた人達がハノイに職探しに出たのが始まりで、リヤカー引きはきついけれど安定して稼げる仕事として定着した。20年以上働いている人や家族で働いている人もいるという。  職歴12年のリエンさんは、リヤカーの事故を何回も目撃してきた。軽ければすりむくぐらいで済むが、骨折した人や脊椎が変形して仕事を辞めざるを得なくなった人もいる。リエンさんも辞めようと思ったことはあるが、子供達の将来のために頑張っていると語った。  

[Tuoi tre online,28/02/2014 11:31 (GMT + 7),O]
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