[特集]
繁盛していたホテルを社会福祉施設にした奇特な夫婦
2013/11/24 07:30 JST更新
(C)VTC news |
コツコツと貯めたお金で建設したホテルを、10年足らず経営した後で貧困者や身寄りのない高齢者が無料で暮らせる施設に変えてしまった奇特な夫婦がいる。夫のグエン・クアン・スックさん(69歳)と妻のド・ティ・クイさんだ。
2人は2002年に、約20億ドン(約957万円)を投じて東南部ビンズオン省トゥーザウモット市ヒエップアン街区に1000平方メートルほどの土地を買って「ゴッククイホテル」を建設した。近所の人によれば、この辺りはダイナム観光区から数百メートルの距離にあるため、ホテルやラブホテルの経営者にとっては理想的な場所で、実際数十軒が立ち並んでいる。
ゴッククイホテルは、3棟の2階建ての建物がU字型に中庭を囲んでいる。客室数は46室。ホテルを経営していた頃は、1日当たり数十人の客が来て数百万ドン(数万円)の売り上げがあって繁盛していたという。ところがある出来事がきっかけになって、ホテル経営を止めて社会福祉施設にする決断をする。
メコンデルタ地方ベンチェ省出身で若い頃から苦労してきたというスックさんによれば、夫妻は2年ほど前のある晩、大雨が降る中でホテルの門の前でうずくまっていた母子を見かけ、お金は取らないからホテルで休むよう招き入れた。母子が放浪することになった経緯を聞いた夫妻は、哀れな境遇の母子をそのままホテルに住まわせることにした。
この話が広まって、放浪者や家のない人が時々ホテルを訪れるようになった。その数の多さに、夫妻は話し合ってホテルを貧困者が無料で暮らせる社会福祉施設に変えることを決めた。母子を受け入れた時から、まだ1年も経っていなかった。
施設はこの1年間で多くの恵まれない人々を助けている。一時的に滞在する人もいれば、居着く人もいる。夫妻から運営を任されている娘のグエン・ティ・ジエム・レさん(39歳)によると、現在の滞在者は30人余りでその半分はストリートチルドレンだという。身寄りがなく住む家のない高齢者も多い。
120億ドン(約5740万円)で施設の譲渡を持ちかけた人があったが、夫妻は売却しなかった。巨額の提示に驚いたが、もし売ってしまえば寄り所のない人達の場所がなくなってしまうと思って拒否したという。
スックさんによると、この施設を維持するための苦労は多い。滞在者の毎日の食事は、夫妻が自腹を切っている他、一部の慈善家が食品を提供してくれている。ただ、スックさんは「自分達が元気なうちは、滞在者にみじめな思いはさせない」と宣言している。
[VTC news,10/11/2013 10:39,O]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.
このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。