[特集]
ホーチミン市の下水道を支える労働者、危険で低賃金
2013/09/29 07:28 JST更新
(C)Tuoi tre,T Thang |
ホーチミン市都市排水有限会社の労働者達は毎日、下水道のマンホールに潜って底に溜まった様々なごみを掃除している。ヘドロからガラスのかけらや注射針に至るまで危険がいっぱいだ。
マンホールの底で真っ黒な汚水に浸かりながらバケツにごみを入れ、上で待ち受ける同僚に引き上げてもらう。バケツから垂れる汚水が頭に降り注ぐ。引き上げたバケツのごみを大きな容器に移して作業が続く。周囲には汚臭が立ち上り、道行く人は鼻を押さえて通り過ぎる。
下で作業をしていたNさん(41歳)は、汗をびっしょりかいてグッタリした。マンホールの中はすさまじい汚臭で呼吸がまともにできないという。Nさんはこの仕事に携わって16年になるが、最も嫌な仕事は5区のキムビエン市場など化学製品を生産・販売している地区の浚渫だと明かした。
「化学薬品が溶けた下水に肌が接すると、かゆくなって腫れ上がってしまいます。すぐに洗い流して薬を塗っても、治るまでに数日かかります」。Nさんによると、染色やセメントの工場がある地区や工事現場近くの下水の浚渫も、通常より苦労するという。
Nさんは「家に帰っても体に染み付いた下水の臭いがします。妻や子供にまで臭いが移ったように感じる時もしばしばです。この仕事をするのは既婚者ばかりですよ。未婚の若者達は結婚できなくなるかもしれないと思っていますからね」と冗談ぽく言って笑った。
通常より大きいマンホールの場合は、胸まである汚水を泳ぐように移動し、潜ってごみを掻き集めなければならない。雨の後はごみであふれ、臭いもきつくなる。休めるのは大雨の時だけだ。
想像しただけでも大変な仕事をこなしている彼らの月給はわずか800万ドン(約3万7400円)にすぎない。それでもこれは正社員の給与で恵まれている方だ。約1000人いる労働者のうち、契約期間が1年未満の非正規労働者がほぼ半分を占める。彼らの賃金は同じ仕事をしながら400万~500万ドン(約1万8700~2万3400円)だという。
マンホールの底でごみを集める仕事は1日当たり17万ドン(約794円)、上で引き上げる仕事は15万ドン(約701円)。つらいのはもちろん前者だが、非正規労働者達はたとえ2万ドン(約93.5円)でも余計に稼ごうとする。彼らには手当てがつかず、旧正月(テト)の賞与も正社員の3分の1にすぎない。この記事を読んだ読者からは、「賃金が低すぎる」、「気の毒すぎる」といった反応が寄せられている。
[Tuoi tre online,30/08/2013 09:25 (GMT + 7),O]
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