[特集]
薬殺刑を"待ち望む"処刑待ちの死刑囚達
2013/08/04 07:28 JST更新
(C)Dan tri、バクザン刑務所の死刑囚 |
人が経験する身もだえするほどの苦しさの中で、死刑執行を待つ死刑囚の味わう苦しさは恐らく最大レベルのものに違いない。2011年に刑法が改正され、死刑の執行方法が銃殺刑から薬殺刑に変更された。しかし致死薬の調達が困難なため、処刑待ちの死刑囚があふれる状態になっている。
刑務所の中には、死刑囚の数が規定された収容人数の倍を超えている所もある。複数の死刑囚が「やるなら今すぐやってくれ。なぜこんなに引き伸ばすんだ」と叫び、怒りのあまり自分の糞便を刑務官に投げつける女性死刑囚もいる。
2011年に公布された薬殺刑の執行方法を定めた政令82号/2011/ND-CPでは、使用する薬剤を3つに限定していたが、2013年の改正政令47号/2013/ND-CPで薬剤の制約がはずされたため、調達しやすくなった。この政令は6月27日に施行され、どの死刑囚が最初の薬殺刑の対象になるかが注目されている。
東北部バクザン省警察の刑務所では、26人の死刑囚が毎晩、自分は明日太陽を見ることができるだろうかと思いながら、息を止めるようにして朝を待つ。麻薬の違法取引で死刑判決を受けたシー死刑囚と彼の愛人だったゴック死刑囚は、10年近くこの刑務所に収容されている。2人も早期の執行を望んでいる。しかしゴック死刑囚は美人だとしてもてはやされていたこともあり、“女王様”を気取っている。「タオルにはバラの花模様がないとダメ」、「部屋を替えろ」、「刑務官を交代しろ」などと要求するという。
ビン死刑囚は2005年に処刑される予定だったが、重要な証言をしたため執行が猶予された。それから8年以上も死刑執行の日を待ち続ける間に肺病にかかり、ハノイで治療を受けている。ゴック死刑囚(前出の人物とは別人)は、部屋にムカデや蚊が出ると言っては泣きわめき、毎晩服を洗って自分の周りに干してから床に就く。
特定の種類のうま味調味料をご飯にふりかけて食べるのが好きな死刑囚もいる。別の種類の調味料だと偽物だといって騒ぎ立てる。ビエン死刑囚は、衣服を引きちぎって首を吊ろうとしたり、壁に頭を打ちつけたりして何回も自殺を企てた。自殺に成功した死刑囚も複数いるという。死刑囚の多くは、何らかの精神的な疾患を抱えているようだ。
バクザン省警察のホアン・テー・ビン上佐は、敷地内の一角を指して「ここに薬殺刑執行場を建設します。年末か来年に着工する予定です。それまでハノイに執行を依頼することになるでしょう」と教えてくれた。薬殺刑執行場はハノイ市やホーチミン市など全国5か所に既に設置され、さらに15か所建設される計画だ。死刑囚の早期執行という“望み”は、そう遠くない将来にかなえられることになりそうだ。
[Dan tri,28/06/2013 - 11:39,O]
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