[特集]
越僑青年の自分探しの旅、ベトナム縦断で見つけたもの
2013/07/14 08:40 JST更新
(C)Cafebiz, チャン・フン・ジョンさん |
(C)Cafebiz, 田植えの風景 |
(C)Cafebiz, 農作業の風景 |
80日間かけてベトナムを縦断し、その体験を元に本を出版した24歳の越僑青年がいる。その青年チャン・フン・ジョンさんは、米国で生まれ育ち、ベトナム語が堪能ではない上、ベトナムを旅するまで親の祖国について何も知らなかったという。
ジョンさんは昨年、自身がこの縦断の旅で感じたことを手記にして「ジョンがフンを探しに行く」というタイトルで出版した。この本は、ベトナムの農家や若者の暮らし、ベトナム人の親子関係などについて、個人的視点から見つめたエッセイとして綴られている。旅の目的は、ベトナムを知り、自らのアイデンティティを見出すことだ。
ジョンさんは旅の体験を通して生まれ育った米国ではなく親の祖国であるベトナムこそが本当の故郷と認識できるようになったという。本の中で彼はこの瞬間を「ジョンがフンを見つけた」と表現している。
しかし、越僑である彼は旅の中で出会った多くのベトナム人から「米国で生まれ育ったのだから完全なベトナム人ではない」と言われたという。「ベトナム人にとっての越僑は祖国を捨てた人間です。今更何をしに来たのかというのが彼らの心情でしょう。ですが、私の立場から言わせてもらえば、越僑は決して外国人ではありません。しかし、ベトナム人になることも出来ないのです」
ジョンさんはベトナム人の外国人に対する接し方について、こんな意見を述べている。「ベトナム人は長い間、外国の植民地支配を受けていたせいか、欧米人を見るとへりくだる傾向が見られます。旅先のレストランに入ったときのことです。店員は欧米人の客を優先して注文をとり、私が英語で話しかけても対応してくれなかったのです。私のことをベトナム人だと思ったのでしょうが、そういったことは何度かあって、正直嫌な気持ちになりました。その一方で、私が外国から来たと知ると、とても親切に接してくれる人も大勢いました」
また本の中では、ある町で越僑である彼に言い寄ってきた少女についても書かれている。「困難な暮らしをしている人々はその生活から逃れるため、外国人に取り入ろうとします。しかし、その人達を攻める気にはなれません。私の家族も米国では苦しい生活を送ってきたのです」
「自分にとってベトナムは、とても愛すべき国で、一部の観光客が言うほど悪い国ではないと思います。しかし、ベトナム人は変化に対して柔軟ではありません。物事にルーズで、そのやり方がベトナム流だと言って、変化を拒んでいるようにも見えます。親子関係について言えば、親が子を束縛しすぎています。“誇り高いベトナム人”を助けるのは本当に難しいことです」
[Ho Huong Giang, cafebiz, 05/06/2013, 09:19, K]
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