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[特集]

ヴィさんのペーパークイリング工房、みんなを笑顔に・・・

2013/06/16 08:11 JST更新

(C)NLD,ヴィさんのペーパークイリング工房
(C)NLD,ヴィさんのペーパークイリング工房
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 ホーチミン市4区に住むチャン・トゥイ・ヴィさん(女性:35歳)は、幼い頃にポリオ(脊髄性小児麻痺)を発症し、現在も片足が不自由な暮らしを余儀なくされている。彼女は12歳まで小児ポリオ回復患者センターで過ごした。高校卒業後は工場に勤め、大学入学の資金を貯めるために懸命に働き、やっとのことでホンバン大学の芸術学科に入学することができた。そこで彼女は魅力的なペーパークイリングの世界に出会うことになる。  ペーパークイリングとは、細長い紙をクルクルと巻いて、パーツを組み合わせることで図柄を作り上げていくペーパークラフトの一種だ。フランスやイタリアの教会の修道女が宗教的用具を美しく飾るために作ったのが始まりと言われている。ヴィさんは、大学のクラブ活動で学校設立の記念コンテストに出品するため、クラブの友人たちと共にペーパークラフトに挑戦した。初めてのことだったが、すぐにその魅力にとりつかれ、この世界で自分の力を試したいと思うようになったという。  その想いは冷めることなく、彼女を夢に向かって焚きつけた。4区にある母親の自宅の片隅に作業場を設けて、数人の友人らと共に小さいながらも工房を立ち上げ、そこでペーパークラフトの作品を自主制作して販売するようになった。工房は色とりどりの作品で溢れかえっている。顧客は親戚や友人へのプレゼント用に購入する人が殆どだが、最近では海外で販売するために仕入れていく人もいる。

 工房を開いてから一番の思い出は、花束を抱えた少女を描いた作品を、まだ額にも入れてない未完成な状態だったにもかかわらず、ある顧客がたいそう気に入って、35万ドンで購入してくれたことだという。「あのときの感動が忘れられないから、私はこの仕事をずっと続けていきたいと思うのです」とヴィさんは語った。  工房の経営が安定してくると、ヴィさんは自分と似たような境遇にある障害者を支援するため、ペーパークイリング教室を開くことにした。「ペーパークイリングは、退屈な仕事ではありません。それどころか1か所に座って手を細かく動かしているだけで、自分一人を養うだけの収入を得られるのです」彼女は障害者に自立の道を探り、希望を持って笑顔で生きて欲しいと語った。  ヴィさんにペーパークイリングを習った一人に、ダクラク省出身で肺がんを患っている女性がいる。彼女は治療のためにホーチミン市に来た際、ヴィさんの作品を見て、その技量に感動し、わざわざ工房を探し出してまで習いに来てくれたのだという。  「苦しんでいる人たちの助けになりたいのです。私も彼らも境遇はよく似ていて、だれもが奮闘しています。小さな紙片を通じて人生を愛することを伝えたいのです」  そう話しながら、ヴィさんは色とりどりの細長い紙をクルクル巻いて小さな渦巻状にし、それを思うままに組み合わせながら図柄を構成していく。何の変哲もない数本の紙切れが、みるみる美しい絵に変わっていった。それはまるで魔法のような光景だった。 

[2013年5月18日, Nguoi Lao Dong, K]
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