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[特集]

ハノイの若者、サパで貧困児童の教育に取り組む

2013/05/12 07:36 JST更新

(C)Tien phong、赤いTシャツがチョンさん
(C)Tien phong、赤いTシャツがチョンさん
 自分の力を試そうと東北部ラオカイ省のサパに向かい、貧困層の子供達に対する教育を始めた若者がいる。ハノイで生まれ育ったギエム・スアン・チョンさん(23歳)だ。彼はハノイ国家大学を卒業後、インターナショナルスクールで安定した教員の職を得ていたが、全てを捨てる決断をした。  チョンさんはその理由について、「ハノイには多くのチャンスがあるし、仕事にも友人にも恵まれています。でも僕にはここでの暮らしは息苦しく感じます。存在するだけで、生きている実感がありませんでした」と語る。  彼は昨年8月末、まずは1か月のつもりで300万ドン(約1万4300円)を持ってラオカイに向かった。サパを歩き回っている時、バイクタクシーの運転手と知り合って話をすると、シンチャイ村落のある家族を紹介してくれた。家族はチョンさんの考えに理解を示し、空き家を提供してくれた。  こうしてサパの青年「バンアー・チョン」としての生活が始まった。村の人々は家族のように接してくれる。畑仕事や森で薪拾いの仕事をするうちに、村人や子供達が貧しい暮らしを送っているのを目にして、彼らの力になりたいと思うようになった。

 少数民族の子供達はベトナム語の発音がうまくできないが、観光客と接するために英語やベトナム語の学習をしたがっていた。チョンさんは10人ほどの子供達に、自宅で昼はベトナム語、夜は英会話を教えることにした。彼の教室は村の人々から歓迎され、やがて地元の小学校に補助教員として招かれた。  チョンさんは「子供達が勉強熱心なのでやりがいがあるし、この仕事に意義を感じます。彼らが自分の仕事を持つようになって、観光客からお金をねだったり土地を売ったりしないですむようになることを願っています」と目を輝かせた。  ところが最近になって、まだ郡当局の許可を得ていなかったという理由で、英語の教室が閉鎖されてしまった。チョンさんはなるべく早く再開しようと動いている。サパで生活しながら、時々ハノイにも帰る。当初は冷たい視線を送っていた両親や友人も、今では彼の考えを尊重し応援してくれている。  平日は学校で補助教員をし、週末は子供達と自然の中で遊ぶ今の生活に、チョンさんは満足している。将来の仕事について尋ねると、彼はこう答えた。「熱中できるものが何か自分でもまだ分かっていないので、決めることができません。これは誰にも分からないと思うけれど、自分が行き着いた場所で自分の仕事を見つけられるかもしれません」  

[Tien phong online,15:07 | 29/04/2013,O]
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