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[特集]

ベトナム真珠を世界へ、「ホアンザー・パール」誕生の物語

2013/03/24 08:02 JST更新

(C)Doanh Nhan Sai Gon
(C)Doanh Nhan Sai Gon
 「真珠のトゥアン」と呼ばれる青年がいる。彼はベトナム初の真珠ブランド「ホアンザー・パール」を生み出した人物だ。穏やかな顔つきをした長身の青年ホー・タイン・トゥアン氏は、真珠への愛とベトナムブランドを世に出したいという情熱と共に歩んできた人生について熱く語ってくれた。  10数年を振り返ってみると、思いがけない人生の選択がこれほどまで長い道のりになるとは思っていなかったという。トゥアン氏は技術系大学を卒業した後、IT系の大企業に就職した。彼は会社の業務でたまたまベトナムの海で真珠の養殖に取り組んでいるフランス専門家チームのウェブサイト制作を担当することになった。ちょうど真珠に詳しい親戚がいた彼は、真珠に関する知識を仕入れることができ、ウェブサイトは依頼主の満足のいく仕上がりになった。  その後、彼に思いがけない二つのオファーがあった。一つは、外国専門家チームがベトナムで真珠の養殖に取り組むプロジェクトがあるので、そのパートナーになってくれないかという打診。もう一つは、勤め先の管理職にならないかという打診だった。いずれも嬉しい知らせであり、どちらにするか色々考えた末、新しいことにチャレンジしようと、真珠養殖の道を選ぶ。彼はその後6年間に亘って、故郷から離れた島で研究生活をすることになった。  だが、2007年に始まった世界金融危機により、外国専門家たちは次々とプロジェクトを中断して帰国してしまったため、全責任が彼の肩に重くのしかかった。疲れ果ててすべて投げ出したくなったこともあったが、6年かけて取り組んできたこの仕事をどうにかしてやり続けるため、彼は賭けにでる。全財産を売り払い、さらに借金をして、中断しかけたプロジェクトを継続したのだ。また、世界中の真珠養殖地を訪ね歩き、海外の専門家から知識を得た。土壌、水、真珠貝の種類、移植や交配などの養殖方法を研究し、故郷の海に最も相応しいのは何かを探り続けた。

 幾つもの困難を乗り越え、彼はようやくコンダオ島での養殖に成功し、色彩の美しいシロチョウガイ真珠を世に出すことができた。また彼は、通常一つの国の海域では1、2種類の真珠しか養殖できないが、およそ3000キロにも及ぶ海岸線を持つベトナムでは、幾つもの異なる種類の真珠を養殖できることを発見した。  そして、ベトナム真珠に活路を開き、ベトナムでの生産量の少なさと、海外に輸出されるベトナム真珠の質の悪さを改善しようと、自ら真珠を生産し市場に出す決心をする。ホーチミン市最大の真珠加工工場へ投資し、数百人の職人を集め、特にベトナムの女性たちに本物の真珠の輝きを体験してもらおうと、適正な価格で販売した。「高級品」とみなされる真珠こそ出所を明確にして適正な価格でなければならず、デザインもじっくり検討できるようにすべきだと考え、全ての商品の情報とデザインをウェブサイトに公開している。  さらにトゥアン氏はここ2年間かけて、新しい研究に取り組み、成果が出ているという。真珠の表面に模様を入れる新技術だ。この独創的な真珠を世界各国に売り込み、ベトナム文化の豊かさを伝えたいと彼は言う。世界への道はまだ開けたばかりだ。 

[Doanh Nhan Sai Gon, 04/02/2013 21:40 (GMT+7) S]
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