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[特集]

枯葉剤被害者の子供達を支援する米退役軍人の父と娘

2013/01/20 08:16 JST更新

(C)Dan tri、ギア君の足をマッサージするラリーさん
(C)Dan tri、ギア君の足をマッサージするラリーさん
 米国人男性ラリー・ベッターさん(71歳)はベトナム戦争に衛生兵として従軍した。その時目にしたベトナム人女性の眼差しが、今でも忘れられずにいる。  それは1965年、ラリーさんが23歳の時のことだった。南中部クアンナム省タンビン郡で作戦行動中の米軍とベトナムの民兵との間で激しい戦闘になった。ラリーさんが、火傷した米兵を助けようと燃えている家屋の火を消し止めようとしていた時、重傷を負った妊婦がいることに気が付いた。  「助けるつもりで近付こうとしましたが、彼女は顔を上げて私をにらみつけました。その目を見て、体が動かなくなってしまいました。どう言ったらいいのか、怒りと恐れと無関心と軽蔑が全て混ざったような目。その瞬間、自分がみじめな人間だと感じました。あの目はどうしても忘れることができません」。ラリーさんは1969年に除隊してテキサスに帰った。  それからおよそ40年後の2008年、ラリーさんはあの目の女性を探すため、十分な資金を蓄えてからタンビン郡を再び訪れた。残念ながら女性は2001年に亡くなっていた。村人らによると、息子がいたが今の居場所は分からないという。

 ラリーさんは女性には会うことが適わなかったが、ダナン市とクアンナム省で枯葉剤被害者の子供達と交流することができた。彼は残りの人生をこの子供達のために捧げようと決意する。特にこの時会ったラー・タイン・オアン君とラー・タイン・ギア君の兄弟とその家族を支援しようと思ったという。  一方ラリーさんの娘のクリステンさんは、大学卒業後看護師として働いていた。去年の12月、ラリーさんが兄弟を助けるためにベトナムに長期滞在する考えであることを知った彼女は、退職して父と共にベトナムに行くことを即決した。父娘はクリスマスを兄弟のそばで迎えようとすぐにベトナムに渡った。  医師らによると、兄弟は枯葉剤の影響で多くの病気を抱えており、長くは生きられないだろうという。ラリーさん父娘はこの1か月、毎日兄弟の家に通ってリハビリ訓練を助けている。  兄弟の母親ホアさんは「ラリーさん父娘への感謝の気持ちは、言葉ではとても言い尽くせません」と話す。ラリーさんは兄弟が少しでも長生きできるよう頑張るつもりだ。「私が受け取る年金はけっこうあるから、安心して欲しい」。そう言って幸せそうに笑った。  

[Dan tri,10/01/2013 - 15:08,O ]
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