[特集]
粥鍋ひとつから家を建てるベトナムドリーム
2012/12/16 08:49 JST更新
(C)Vietnam.net, ハノイ市の滋養粥屋 |
(C)Vietnam.net, 建設ラッシュに沸く粥屋の故郷 |
ハノイ市の街角、子どもの集まる場所にはたいてい粥売りの屋台がやってくる。粥売りの大半は紅河デルタ地方フンイエン省フークー郡の出身だ。
グエン・ティ・バーさんはハノイ市クアットズイティエン通りで粥売りを始めて5年。世代を問わず人気で、客足が絶えることがない。
フークー郡出身のバーさんは、3人の子どもを抱え、耕地は少なく、生活は常に苦しかったため、ツテをたどって北部ハイフォン市へ出稼ぎに行った。月給300万ドン(約1万2000円)で粥屋の皿洗いの仕事にありつき、そこで子供向けの滋養粥の作り方を覚えた。
その後彼女はハノイ市へ出て、ある集合住宅の子供たちに粥を配ることを思いついた。そこには公務員が多く住んでおり、忙しすぎて子どもに満足な食事を与えられない家庭が多いという話を聞いていたからだ。しばらくすると、彼女の腕前の良さと、粥のお陰でたくましくなった子どもの姿に、多くの客が引き寄せられた。
バーさんは粥売りの仕事を「子どもたちを癒す仕事」だと表現する。常に大事にしているのは、粥をおいしく炊くこと、出処のはっきりした米や野菜のみを使うこと。新鮮な食材を使うためコストはかかるが、子どもたちが美味しいと喜んでくれればそれでいい、と彼女は言う。
2年たった今、ひとつの鍋から出発した屋台は、2つの「支店」を構えるまでになった。3店合わせた売上は月額4500万ドン(約18万円)ほど。
バーさんに倣ってフークー郡の人たちが次々にハノイ市に来て滋養粥の店を始めるようになり、今やハノイ市のどこにでも見かけるようになった。商売が繁盛している人が多く、中には、高所得者の住むCiputra新都市区で月に5000万ドン(約20万円)も稼ぐ粥屋もいるという。
現在のフークー郡の様子を知ろうと、同郡を訪れてみた。粥屋の多いドンカップ村のロン村長によると、同地区には350世帯ほどが住んでいるが、その約4分の1はハノイ市に出稼ぎに行っているという。粥屋の仕事は各家庭に急激な変化をもたらしており、出稼ぎに出て4、5年足らずで家を建てる人も多く、現在建設ラッシュに沸いている。中には家族総出でハノイ市に出て、高層マンションで暮らしているという例もあるそうだ。
[vietnam.net, 25/6/2012 09:09 S]
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