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[特集]

ハノイの路上売り、その実態にせまる

2012/12/02 08:00 JST更新

(C) Tien Phong
(C) Tien Phong
 ハノイ市の路上では、ガム売りの老人や子どもの姿をよく見かける。彼らを取り纏めて「仕事」をさせる元締めと呼ばれる者たちが存在する。一週間の取材を通し、我々は約20人のグループの活動概要を掴んだ。彼らの活動範囲はバーディン区、ホアンキエム区、ハイバーチュン区、ドンダー区の4つの地区。  毎朝10時、彼らは隊列を組み、中心部の飲み屋街に「出勤」する。店が混雑する時間帯に仕事をして、だいたい午後2時半ぐらいに集合地点に戻り、それまでの稼ぎを元締めに納める。  食事や休憩をはさみ、午後7時ごろになると彼らはまた定位置に付く。そして店が閉まるまでそこに居座って仕事をするのだ。ハイバーチュン区タンバット通りにある飲み屋で、一人の少年に話を聞いた。  少年によると、販売するガムはその都度分配されるという。ガムが無くなると元締めに電話をかけて届けてもらうのだ。ガムの価格は一箱2万5000ドン~3万ドン(約99円~119円)ほどだが、売り値は客を見て変える。場所代、飲食代として一日に3万ドン、若しくは稼ぎの10%が元締めから支払われる。少年の場合、一日に売れるのは20~30箱だという。  ドンダー村の中心市街にある飲み屋に、数人の男に罵倒される80歳ぐらいの老婆がいた。この老婆は売り上げが伸びず、元締めにお金を納めることが出来なかったのだという。  彼らは商品を売る以外のことは基本的に禁じられている。お茶一杯を飲むためにも許可を得なければならない。商品を運ぶ者の他に、この組織には見張り番もいる。売り子たちが仕事をしているかどうかを見張るのだ。  規則に逆らうと罰を受ける。ある売り子の少年が教えてくれた。もし仕事に出ても座っているだけだったり、客に売り込まないようだと報酬を減らされ、叩かれるのだという。

 彼らの取材を始めて2日目の晩、我々はドンスアン市場で彼らの行動を撮影するために機材を持ち込んだ。午後11時時ごろ、一人の売り子が集合地点の市場近くにある喫茶店に入った。私は水を飲み干すとカメラを取り出し、カメラの調子を確かめる振りをして数回シャッターを切った。ちょうどその時、売り子を迎えに来たのか、元締めと見られる男の車が近づいてきた。そのまま様子を窺い、若い男が売り子を「隠れ家」へ連れて帰る場面をおさえることができた。  3日目、我々はタンバットホー通りにある喫茶店にカメラを据えた。一人の青年がバイクで12歳ぐらいの女の子を迎えに来た場面を撮影していると、我々を発見した少年たちはすぐにどこかへ電話をして、その場から逃げ出した。  我々は少年たちを追いかけたが、少年たちがバスに飛び乗ったため、撒かれてしまった。その後の3日間、我々は同じ場所で彼らを待ったが、売り子の老人や子どもの姿を見かけることはなかった。  調査最終日、我々はタイホー区の警察署を訪ねた。警察官はこう語った「その地区に少人数で行くのは危険だ。我々は常に6人、7人のチームで行くようにしている。彼らを甘く見てはいけない。下手を打てば、自分に火の粉が降りかかってくるんだ」 

[ 2012年10月15日 Tien Phong online]
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