[特集]
両手のない美術教師、困難を乗り越える生徒達の励みに
2012/11/11 08:26 JST更新
(C)Tuoi tre,c.q |
カイン・ロンさんは少年の頃、肘から先の両手を失い右目を失明した。壮絶な境遇を乗り越えて、ロンさんは美術教師となり、メコンデルタ地方ソクチャン省タインチ郡のタインチ中学校で20年にわたって指導を続けている。
ロンさんが子供の頃、家庭の経済状況が厳しくて彼は小学校に通うことができなかった。12歳の時、友人達と共に水牛の世話をしていた際、川に何かがゆっくり流れているのを見つけ、拾ってみようということになった。皆で取り囲んでいた時に、それはいきなり爆発した。1人が死亡し、ロンさんは気を失った。目を覚ました時、両手と右目を失ったことを覚った。
ロンさんの家族は絶望を感じながらも、将来のためにと彼を小学校に通わせようと思い立った。しかし小学校に入学の手続きに行くと、ペンを握れなければ受け入れることはできないと拒否された。ロンさんは数週間練習を重ねてペンを握れるようになり入学が認められたが、さらに字を書く練習に、文字通り血がにじみ出る訓練を2か月間続けなければならなかった。
ロンさんは中学3年生になった時、教室の装飾や壁新聞の作成に参加して絵を描くようになり、美術の才能を開花させた。1985年に高校を卒業すると、旧ハウザン省の芸術文化専門学校の入学試験を受けた。合格したにもかかわらず、学校側は両手がないことを理由に受けいれを拒否。ロンさんはめげずに翌年も受験して合格し、学校側に入学を認めさせた。
ロンさんは学費を稼ぐために、在学中の2年目から希望に応じて絵画を描く仕事を始め、その後1992年にタインチ郡の小中学校の美術教師として採用され、現在に至っている。
タインチ中学校のチン・バン・チュオン副校長は、実はロンさんの元教え子だ。チュオンさんは生徒として初めてロン先生に接した時、本当に美術を教えることができるのかと不安を感じたが、すぐに解消されたという。今ではロンさんの存在は、学校の生徒達にとって困難を乗り越える励みになっている。
ロンさんは今年からドンタップ大学で美術教育に関するコースで学び始めた。新しい知識を得ることが目的と、今も学ぶ意欲は旺盛だ。
[Tuoi tre,16/09/2012, 08:48 (GMT+7),O ]
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