[特集]
社会食堂「スマイル」がオープン、助け合いの心健在
2012/10/28 08:22 JST更新
(C)Tuoi tre,T.Dam |
ホーチミン市3区ホースアンフオン通り6番地で最近、低所得者向けの社会食堂「ヌクオイ(スマイルの意)」がオープンした。月・水・金曜日の昼に、250食を1食当たり2000ドン(約7.7円)で提供している。こんなに安くてもメニューは、肉・野菜・スープ・デザートが付いてご飯はおかわり自由、お茶とバイクの駐輪も無料といたれりつくせりだ。
初めて訪れた人はたいてい「本当に2000ドン?」と不信感を隠せない。食券を購入し、お盆にメニュー通りの皿がそろい、椅子に腰を下ろした時に、ようやく安心して誰もが「助かるなあ」と口にする。
肝臓病を患いながら守衛の仕事をしている65歳の男性ズオンさんは、「普段の昼食は1万9000ドン(約73円)します。ここで週3度食べて浮いたお金を診療代に回すことができますよ、助かります」と話した。父親を早くに亡くし宝くじを売って母親を助けている少年、空き缶・空き瓶を拾い集めている男性などこの食堂に来る人の境遇は様々だが、彼らの助けになっていることは確かなようだ。
食堂には人々の善意も集まる。食事をした後に何時まで店を開けているか尋ね、2袋のコメを届けて名前も告げずに立ち去った人もいれば、従業員の人数を聞いて人数分の豆乳を届けた人もいる。
中学生4人のグループは食後になにやら相談していたかと思うと、食券をもう1枚購入したいという。従業員がなぜご飯をお代わりしないのかと尋ねると、「僕達はもうお腹いっぱいです。食べるためでなく、応援したいと思って」と答えた。
この社会食堂は「ティントゥオン慈善基金」が運営している。基金は寄付金を貴重な浄財として受け取り、全てを貧しい人々のために使うことを方針に掲げている。そのため、従業員は全員無給のボランティアだ。
ボランティアは、食券販売、食器洗い、料理など7つの班に分かれて仕事をする。ほとんどは大学生や会社員だ。食堂の向かいでホビロン(孵化直前のアヒルのゆで卵)とお粥を売っている女性は、いわば競争相手でもある食堂の料理を担当している。
経済的に苦境にある人達にとって、彼らボランティア達のスマイルは何よりの癒しになっている。空き缶拾いの男性は「これまで人に『どうぞ』と招き入れられることなんてなかった」と目に涙をにじませて語った。
[Tuoi tre online,22/10/2012, 11:00 (GMT+7),O]
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