[特集]
枯葉剤被害者の少女、幸福までの道のり
2012/10/21 08:24 JST更新
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骨の癌に侵され両足を失った花婿と枯葉剤被害者で両足麻痺を患った花嫁の結婚式が行われた。挙式した場所は花嫁の運命とは切っても切り離せない特別な場所、ホーチミン市戦争証跡博物館だ。
義足の青年レ・バン・ビンはある雨の日、車椅子に乗った少女チン・ティ・ズエンと出会い、そして恋に落ちた。知り合った当初は別々の学校で学んでいた2人だが、間もなくしてバンラン大学の障害者向けコースを揃って履修することになった。
「毎日、彼女の車椅子を押して、大学に通いました。寮から大学までは1キロ以上あり、その道程を来る日も来る日も2人で通いました」ビンは当時を振り返ってそう語った。ズエンはそれを聞きながら「大学に着く頃には汗だくになっていることもよくありました。でも、彼は一言も弱音を吐かず、いつも笑顔で私に話しかけてくれました」と語った。
コース修了の時期が近づいて、2人にも転機が訪れた。ズエンは故郷の北中部ゲアン省で仕事をしたいと考えていたが、既に将来を誓い合っていたビンからの申し出を受けて、留まることを決めた。
そして時が流れ、ビンは将来の花嫁の田舎で正式に結婚の許可を得る日が来た。ズエンの両親は娘が人生の伴侶を得たことに喜んだものの、ビンの義足姿を見て不安を覚えた。ビンの両親にズエンを紹介した時もまた、同じような反応が返ってきた。「1人で生活することさえ難しいのに、障害者と結婚するのか?」
それでも、2人の決意が揺らぐことはなかった。「自分で選んだ人だからこそ、どんな困難があっても2人で助け合い乗り越えていくことが出来るのです」2人はそう強く信じている。
結婚生活を始めるためには安定した仕事に就かなければならない。しかし、障害者である2人には仕事探しも険しい道のりだった。幸いなことに2人はホーチミン市内の同じ職場で働くことができるようになり、結婚への障壁が一つなくなった。
結婚式を間近に控えたある日、若き新郎新婦のもとを訪れた。2人の表情は晴れやかだった。しかし、心配事は少なくない。ビンは5年前に手術を受けて以来、お金が無かったために、まともな治療を受けていない。ズエンもまた、いつ枯葉剤のさらなる影響が出るか分からない体だ。
親族からは付き合い始めてから1年で結婚するのは早すぎるという声も上がっていたが、2人には十分すぎる時間だったという。「私たちには1分1秒が貴重な時間です。少しでも長く2人で一緒にいられたらという思いでいっぱいです。子供が出来たときのことも考えて、将来は自分たちで小さな店をやっていければと思っています」笑顔でそう語るズエンを、ビンは優しく見守っていた。
[QUOC LINH Tuoitre 22/04/2012, 07:05 (GMT+7)U]
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