[特集]
戦死したベトナム人兵士の日記、米退役軍人が遺族に返還
2012/10/14 07:29 JST更新
(C)Lao dong、ドアンさんの遺族 |
米国ワシントン州在住の退役軍人ボブ・フレーザーさんはこのほど、戦死したベトナム人兵士ブー・ディン・ドアンさんの日記の遺族への返還を果たした。ボブさんが46年間保管していた日記は、6月に訪越したレオン・パネッタ米国防長官からフン・クアン・タイン国防相に手渡され、遺族の元に届けられた。
ベトナム戦争に従軍した米国の退役軍人が、戦場から記念に持ち帰った物や日記などをベトナム側に返還する動きは2001年8月から始まったが、遺物を受け取るべき遺族が見つかることは多くないという。戦死した女性軍医ダン・トゥイー・チャムさんの日記が2005年にベトナムで出版され、多くの読者に感動を与えたことはまだ記憶に新しい。
ボブさんがドアンさんの日記を入手したのは1966年3月。米軍と北ベトナム軍の戦闘後の戦場を捜索していた時にドアンさんの遺体を発見した。その時の情景をボブさんはよく記憶している。体から血は流れておらず、まるで眠っているようで、恐らく1発の銃弾で即死したと思ったという。
ボブさんはドアンさんの手に赤い表紙のノートがあるのを見て記念に持ち帰った。1970年代後半になって、日記を遺族に返そうと思い立ち方法を探ったが、当時の越米関係ではそれも難しかった。
ボブさんは日記に何が書かれているのか分からないながらも、ずっと大切に保管していた。「日記を保管している間、いつか遺族に返さなければという思いが募っていました。やがて、かつて憎んだ人達と自分との間に大きな違いがないことを悟りました」。
ボブさんは今年初め、米国の公共放送サービス(PBS)の歴史をテーマにしたテレビ番組に、日記を遺族の元に届けてくれるよう依頼した。多くの人の協力を得て遺族を発見したPBSが、訪越を予定していたパネッタ国防長官に事情を話して日記の返還が実現した。
遺族への日記の返還式は9月21日に行われた。ボブさんはその場に立ち会うことを強く希望していたが、肺がんの治療中でそれもかなわなかった。ボブさんは「私がドアンさんの遺族のことをいつも考え、平穏無事を祈っていることを彼らに伝えてください。こんなに時間がかかってしまったこと、そしてドアンさんの母上が亡くなられて日記を目にすることができないことをとても残念に思います」とメッセージを寄せた。
ドアンさんの妻フオンさんは5月に夫の日記のニュースを知り心待ちにしていたが、日記がベトナムに届けられる1週間前に残念ながら亡くなったという。
[Lao dong online,22/09/2012 06:38,O]
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