VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

視覚障害と闘いながら“マスターシェフ”の栄冠を勝ち取った「料理の女鉄人」

2012/10/07 08:07 JST更新

(c)tinmoi.vn/
(c)tinmoi.vn/
 日本でお馴染みのテレビ番組「料理の鉄人」のアメリカ版、「マスターシェフ~天才料理バトルシーズン3」で、視覚障害のある小柄な越僑女性クリスティーヌ・ハーさんが並み居る強豪を破り“マスターシェフ”の栄冠を勝ち取った。  現在彼女は33歳。ヒューストン大学に在学中の大学生で、有名な料理ブロガーでもある。9月に行われた決勝戦では、ミシシッピ州から参加した米軍料理担当のジョシュ・マークス氏を打ち破り、賞金25万ドル(約1950万円)と料理本の出版権を獲得した。  決勝戦では、2時間で3品の料理を完成させるという課題が出された。マークス氏は、◇タイガーシュリンプのバター煮スウィートソース添え、◇ラム肉のカレーソテーと春野菜、◇燻製肉とピーカンナッツのブレッドを作った。審査員たちは料理の難易度の高さを褒め称えたが、バター煮のエビが少々生臭かったという評価を下した。  一方のハーさんは、◇タイ風リンゴとパパイヤのサラダ、◇玉子と豚肉の煮込み、◇サトウキビとガーリック風味のシャーベットを完成させた。彼女は自分の料理を「味のアンサンブル」と表現する。審査員たちからは、シンプル且つヘルシーで実に完成度が高いと一様に高評価を得た。そして厳正な評価の結果、“女マスターシェフ”が誕生した。

 彼女は19歳の時からニューロマイエリティス・オプティカ(視神経脊髄炎)という病に侵されている。この病気は、文字通り視神経や脊髄が炎症し視力が次第に失われていくという難病だ。最悪の場合は失明に至る。  彼女の場合、初めは片方の目から悪くなり始め、やがてもう一方の目も侵されていったという。幸い完全な失明には至らなかったものの、視覚に頼ることが出来なくなったため、次第に目以外の方法で「視る」ことを覚えていった。今では、日常生活の殆どを自分だけで出来るようになり、日常的な料理なら誰の助けも必要とせずに1人でこなすことが出来るようになった。  「私が料理をする時は、舐める、嗅ぐなど視覚以外の感覚にかなり頼っています。」彼女は以前ピープル誌のインタビューでそう語った。「肉の焼け具合を見るのには手で感触を確かめたり、専用の道具を使ったりしています。食材の状態を目で見ることが出来ないのは確かに不便です。嗅覚や触覚を研ぎ澄まして確認しなければなりません。材料を切る作業も慣れるまでは大変でしたが、もともと器用だったこともあり、手を切ったことは1度もありません。そして、私は自分の視覚障害を料理人としてのハンディキャップとは思っていません。たとえ目が使えなくても、大勢の人を感動させられる美味しい料理を作ることが出来ると信じています。」 

[Phan Tâm Tin moi  2012/9]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる