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[特集]

トゥーズー病院の"おばあちゃん"医師、81歳で今も現役

2012/09/16 08:10 JST更新

(C)Tuoi tre,Thuan Thang
(C)Tuoi tre,Thuan Thang
 「人民医師」の称号を持つ女性医師タ・ティ・チュンさんは、81歳になる今も現役で働いている。トゥーズー病院のグエン・ティ・ゴック・フオン元院長は「彼女がいなければ今日のトゥーズー病院は存在しなかった」と感謝の言葉を口にした。  15歳のときから祖国統一を願ってきたチュンさんは1975年4月、サイゴン(現在のホーチミン市)に足を踏み入れた時、夢を見ているような感じがしたという。この後彼女は、ホーチミン市トゥーズー病院の共産党委員会書記に就任した。当時の病院は貧しくて設備も古く、混乱した様相を呈していた。チュンさんにはやるべきことが山のようにあった。  1978年になると、一食のコメにも困るほどの経済的困難に見舞われ、トゥーズー病院のスタッフは時間外に畑仕事を義務付けられた。この頃数日毎に医師が国外に脱出したという知らせが届いた。市党委員会が1980年末に、公務員などの生活支援に関する決議を採択してようやく一息つくことができるようになった。  これを機にトゥーズー病院は時間外診療室を開くことを提案し、市は試験的実施を承認した。この時病院内では提案に反対する意見も多かった。チュンさんは病院の党委員会書記として、どうすればスタッフの労働が過剰にならず、医療の目的を果たせるかに頭を悩ませ、人員配置に工夫することで意見の一致をみた。結果は良好で、1985年には保健省から過渡期における時間外診療室のモデルケースとして認定された。

 チュンさんは、望まない妊娠をしてしまった女性たちの相談を受けることが度々あり、そうした女性が身を寄せる家を作ってはどうか、という思いを抱いた。この時チュンさんは既に定年退職し、同病院内のホアビン村(障害児の養育施設)の副所長に就任していた。その後女性のための「駆け込み寺」は、赤十字協会の支援を受けて誕生した。  チュンさんは今も毎朝4時半に起き、6時には病院に到着している。ホアビン村の彼女の小さな執務室には、医師や助産婦らが立ち寄って話をしていく。枯葉剤(ダイオキシン)の影響を受けた子供達からも「おばあちゃん」と呼ばれて慕われている。  チュンさんは80年余りの人生を振り返って、「私の一番の幸せは女性や障害児達の世話をできたことです。体が動かなくなるまで、ホアビン村の子供達の面倒をみるつもりです」と語った。  

[Tuoi tre online,26/08/2012, 09:17 (GMT+7),O ]
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