[特集]
ハンセン病元患者の隔離島が高級リゾートに、住民たちの複雑な心境
2012/09/02 08:33 JST更新
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ハンセン病の元患者や家族達が住む島として知られる中部ダナン市のホアバン島(ホアバン集落)から25日、127世帯350人余りの住民が一斉に本土に移住した。本土移住は住民の長年の望みではあったが、複雑な思いも残る。跡地では、ビンパール社が50億ドル(約3940億円)を投じてホアバン高級総合リゾートを開発することになっている。
同集落が属するダナン市リエンチエウ区当局は移住の3日前、集落の集会所に住民を招いてお別れパーティーを催した。地元より本土の関係者の方が多い。住民の多くは、長年暮らした村を離れる寂しさと新居での生活に不安を抱えているため、心ここにあらずの様子だった。
ホアバン集落の最初の住民の1人であるグエン・ティ・トゥアンさんは、「この数日夜も眠れません。50年近く前、ハンセン病を恐れる家族や周囲の人から故郷を追われてここにやって来ました。今になって第2の故郷からも離れることになるとは思いませんでした」と語る。
トゥアンさんによると、1960年代の初めにはまだ有効な治療法がなかったため、患者を隔離する場所の一つとしてホアバン島が選ばれたという。「当初は家もなく、テントを張って男女が一緒に暮らしていました」と当時を振り返った。
その後月日を経て、患者達は海で魚を獲り森林で動物を捕まえ、コメを育てることで生計を立てるようになった。やがて家族が徐々に増えて、集落が形成されていった。
同集落は1998年になって、ようやく正式にリエンチエウ区ホアヒエップバック街区に属する行政上の集落として認定された。患者とその家族はこの時初めて国民と認められ、戸籍の登録や選挙で投票ができるようになった。しかし住民の生活は依然として厳しい。彼らの夢は、島に船着場を建設し、訪れる観光客に美しい風景を味わってもらうことだった。
住民達の再定住区は海岸に近いグエンタットタイン通り沿いにある。当初は病気が感染するのではないかと懸念する周辺住民の反対にあった。周辺住民らの理解を得て住宅が建設されたものの、移住のための支援金はわずかで今後の生活に保証はない。
島に観光客を、という彼らの夢は近い将来実現するかもしれない。しかしその時彼らの姿は島になく、以前の夢は毎日の暮らしをやり繰りするという現実的な夢にとって代わっているだろう。
[Lao dong online,25/08/2012 05:00,O ]
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