[特集]
ホーチミン市の複製画ギャラリーに変化の兆し
2012/08/05 08:37 JST更新
(C)Tien phong,TNA |
ホーチミン市のバックパッカー街として知られるブイビエン通りは、複製画を販売するギャラリーが多いことでも知られている。しかし最近、景気低迷の影響を受けて購入客が減り、複製画家の生活も苦しくなっているようだ。
この通りに店を出した画家のクオンさんは、4人の見習い画家を雇い、現在世界の名画の複製画200枚以上を所有している。「本物だったら100万ドル(約7810万円)でも複製画は100万ドン(約3770円)」と笑う。絵のテーマは決まっておらず、買う客がいるなら何でも描く。CDのジャケットや有名歌手の写真でも油絵に仕立て上げる。
美術学校の教員でもある画家グエン・フイ・トアンさんによると、複製画にもいくつかの種類があるという。本物そっくりのもの、改作・脚色したもの、特長を取り入れたものなどだ。技能のある画家にとって複製は難しくないが、見習い画家にとっては困難だという。トアンさんは「この通りで働く見習いの90%は、美術学校には行かず店で見よう見まねで学んでいる」と語った。
絵の品質が落ちているせいもあるのか、複製画の価格は値下がりしている。5年前は150万ドン(約5660円)で売れたゴッホの複製画が、今では3分の1の50万ドン(約1890円)まで下がっている。それでも気に入ったものがなければ客は背を向けてしまう。
北中部トゥアティエン・フエ省フエ市で美術大学を卒業し、個展を開いたこともあるという画家ズンさんは、「ベトナムで画家として生きていくのは大変だ。同級生のほとんどは画家になっていない。自分は仕方なく複製画を描いているが、複製は人にインスピレーションをもたらさない。それは創造だけが可能なことだ。複製だけする仕事は苦しすぎて誰もやりたがらない」と真情を吐露した。
こうした状況の中、ブイビエン通りの画家やギャラリーのオーナーらは、複製画からオリジナル絵画へと少しずつ重点を移し始めている。クオンさんは店の30%の絵画をオリジナル作品に変えた。ズンさんは最近、数百ドル(数万円)で自分の作品が売れたという。費やした苦労に比べれば高いとは言えない金額だが、ズンさんは「完全に自由な精神で描いた作品が売れた意義は大きい」とうれしそうに語った。
[Tien phong online,08:36 | 02/08/2012,O ]
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