[特集]
“キッチンの画家”の異名を持つベトナム料理の伝道師
2012/07/29 08:00 JST更新
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先日ベトナムの若き料理人ボー・ディン・クオックが世界料理人協会からベトナム料理文化伝道師として表彰された。料理人としてすでに有名な彼は、どこのレストランやホテルの料理長でもない。パーティなど様々なシーンを通してベトナム料理の文化を伝える料理人だ。
フードスタイリストでもある彼の愛称は「キッチンの画家」。ごつごつした指先から、人々の目を捉えて離さない美しく且つ繊細な盛り付けが生み出されるとは、にわかに想像しがたいだろう。
「盛り付けには幾通りものやり方があり、その時々で変わりますが、まずは食材の性質を知らないと美しく盛り付けることはできないのです」クオックさんはそう語る。「食材の形を維持するためにピンなどを使う人も少なくないのですが、それでは眺めるだけの料理になってしまいます」
2004年、24歳の時クオックさんは広告や雑誌掲載のために食品をきれいに盛りつけることを請け負う会社を設立した。その時彼はすでにフードスタイリストとしてテト料理の盛り付け一品で数千ドルを稼ぎ出していた。
大学受験に3回失敗し、今後の進路を考えていたとき、料理人だった母の勧めをうけて、その道へと舵を切る。「他の兄弟はみな大学に入ったのに、私1人受験に苦しんでいるのを見た母が、料理の勉強をすることを勧めてくれました。最初は興味がありませんでしたが、日増しにのめり込んでいったのです」
2001年、彼はホーチミンの観光業専門学校の料理人クラスで首席となり、奨学金をもらってベルギーへ留学し、サイゴンツーリストホテルの料理人として研鑽を積んだ。帰国後、再びクラスの首席となり、今度はシンガポールの有名ホテル「ラッフルズ」で働きながら料理の腕を鍛えた。さらに、アジアの料理コンテストで入賞したほか、「各国のスパイス」をテーマにした研究で、アジア料理人協会から「料理の専門家」としての認定を受けた。
卒業後、フーコック島のホテルから料理長の職の誘いを受けたが、彼はそれを辞退する。「料理長をするには忍耐力が必要です。私は生来の短気者なのでお客とトラブルを起こしかねません。私の場合、気分に波が出ると料理の味も落ちてしまいます」こうして彼は料理の美しさを伝える仕事を選ぶ。
彼は現在、ベトナム料理について、さらに精通するため、ベトナム料理に関する古典を読んでいるという。「この本からタンロン王朝1000年の歴史ある宴会料理なども学ぶことができました。古典を読むのは簡単ではありませんが」と彼は語る。
彼の主な活動は、各国の領事館が主催するイベントでベトナム料理を振舞って、母国の食文化を広く世界に知ってもらうことだ。しかし、彼の活動はそれだけに留まらず、ベトナムの家庭料理本を執筆したり、貧しい家庭に美味しい料理を届けるチャリティー活動を主催するなど、日夜忙しく飛び回っている。
[KIM ANH ]
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