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[特集]

たった1人で張り紙はがしのボランテイア続ける高齢者

2012/07/22 08:48 JST更新

(C)Tuoi tre,Quang The
(C)Tuoi tre,Quang The
 ハノイ市タインスアン区のランドン集合住宅地区に住むグエン・バン・ミンさん(70歳)はこの10年、毎日夕方になるとグエンチャイ通り沿いの壁や電柱などに張られた張り紙をはがして歩いている。この時間は買い物や子供の迎えで急いでいる人が多く、誰もミンさんに注意を向けない。気が付いている人の目も、たった1人で何ができるという冷ややかさが感じられる。  ミンさんは自分が人から変人と思われていることを知っている。張り紙はがしをするのは、「かつてのハノイはきれいだった。1軒の店には1つの看板だけで、今のように広告でごちゃごちゃしていなかった」という思いからだ。  グエンチャイ通りは交通量と建設現場が多く、粉塵と埃の多い通りとして知られている。1日中もやがかかっているように見えるほどだ。それでも毎日、運動のつもりでクアットズイティエン通りとの交差点からソー交差点まで往復5キロを歩いている。「粉塵が舞っていても、高齢者は外に出て太陽を浴びたほうがいい。往復すれば道路の両側で張り紙をはがせるし」と語る。

 ミンさんは朝も自転車でグエンチャイ通りを走る。運動と夕方の仕事の"偵察"を兼ねている。張り紙が特に多いのは、多くの工場や学校、スーパーのあるハノイ市人文社会科学大学からソー交差点までの区間だ。ただ、張り紙の量は以前よりかなり減っているという。「張っても張ってもはがされるから、音を上げたのだろう」と笑った。  ミンさんが朝と夕方の2回、張り紙はがしのためにグエンチャイ通りを往復していることを、最近まで奥さんを含め家族も知らなかった。普通の散歩だと思っていたという。ミンさんは「誰に話そうとも思わない。普通のことをしているだけだから。健康に生きて家族や社会のために貢献することが大事だ」と話す。  ミンさんのこの活動はほんの数か月前、インターネット上にアップされて知られるようになった。若者達がこれに反応し「ミンさんに見習って、張り紙はがしに参加しよう」と呼び掛けたことで注目された。ミンさんは今も黙って活動を続けている。  

[Tuoi tre online,08/07/2012, 10:00 (GMT+7),O ]
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