[特集]
米国最小の町を落札したベトナム人実業家
2012/05/27 08:17 JST更新
(C)Nguoi lao dong、旧町長(左)と新町長グエンさん |
米国で最小の町、ワイオミング州オールバニ郡ビュフォード町を町ごと売り出す競売入札で、ベトナム人実業家が90万ドル(約7170万円)で落札したことがニュースになってから1か月余りが経過した。当初は名前が明らかにされなかった注目の人物、ファム・ディン・グエンさんがその経緯を語った。
グエンさんはホーチミン市経済大学を卒業後、コカコーラ・ベトナム、ノキア・ベトナム、キンドグループなどに勤めて経験を積んだ後、国際総合物流サービス社(IDS)を設立し、社長に就任した。
グエンさんはある日偶然、ビュフォード町が10万ドル(約797万円)で売りに出されていることを知り、関心を持ち始める。ただし、会社立ち上げのために貯金をほとんど使ってしまっていたので手持ち資金がない。米国在住の親戚や友人にこの話をすると、多くの人が支援を申し出てくれた。
さらにいくつもの偶然や幸運にも恵まれた。渡米するためのビザの取得には通常2週間は必要だが、入札まで4日しか残されていない。ホーチミン市の米国総領事館に事情を説明すると、特別の計らいをしてくれた。
米国行きの機内で見たスティーブン・スピルバーグ監督の新作映画「ウォー・ホース」には、馬の競売入札のシーンがあった。また、縁起をかついだグエンさんが幸運を招く赤い服を着ていたところ、米国での代理人であるロージーさんも赤い服を身に付けていた。このときグエンさんは、落札できると自信を持ったという。
ビュフォード町は過去32年間、唯一の住民で町長のドン・サモンズさんしか住んでいなかった。90万ドルで落札しても、利益を出すのは難しいと多くの人が懸念する。しかしグエンさんは、付近の不動産価格やビュフォード町の収支を調べた上で応札額を決めたとし、6~7年で資金を回収できるとみている。
ビュフォード町は米国最小の町として知られており、ベトナム人が購入したことでさらにその名が知られるようになった。グエンさんはこれを、IDS社の業務拡大の契機にしようと考えている。
米国の町を購入するというアイデアは突然のひらめきだったが、グエンさんは「ひらめきが奇跡を生む」と信じている。彼は最後にこう語った。「自分のしたことを、多くのベトナム人が誇りに思ってくれたらとてもうれしい。他の誰も考えもしなかったことをできたことは、自分にとっても誇りです」
[Nguoi lao dong online,20/05/2012 21:32,O]
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