[特集]
生涯現役を全うした女性歌手ゴック・ティー
2012/04/15 08:18 JST更新
(C)Tien phong,TNA、1970年代のゴック・ティーさん |
ベトナム戦争が終結する1975年以前のサイゴン(現在のホーチミン市)のライブハウスで、外国語の歌を歌って一世を風靡した女性歌手ゴック・ティーさんが最近、肺炎で亡くなった。64歳だった。
外国曲の上演が禁止された一時期、忘れ去られた存在になったが、1991年に解禁となった後は、倒れるまでライブハウスへの出演を続けていた。英国でスーザン・ボイルが有名になった頃から、彼女も注目を集め出して「ベトナムのスーザン・ボイル」と称されるようになっていた。
ゴック・ティーさんは1948年に北中部トゥアティエン・フエ省フエ市で生まれた。南部の古典芸能「カイルオン」の人気役者である父親の血を受け継いだ彼女は、早くから音楽の才能を開花させた。サイゴン中心部にあったライブハウス「デムマウホン」に出演し、若手シャンソン歌手として活躍した。
家族がサイゴンでライブハウスを開いた後は、ファミリーバンド「タンロン」の一員として出演、英語とフランス語の歌を歌える愛らしい歌手として人気を博した。
しかしベトナム戦争終結後は仕事がすっかりなくなり、タンロンバンドのメンバーだったトンさんと結婚し、一児をもうけた。トンさんの妹トゥエンさんは「ティーさんは献身的に家族の面倒をみていました。兄が糖尿病だったため、彼女は家族の大黒柱としてずっと仕事をしていました」と語る。
最近はホーチミン市のライブハウス「ティエンスア」や「ヨーコ」などで、英語曲のスタンダードナンバーを歌うことが多かった。時にベトナム語の曲を歌うこともあった。彼女は「本当はベトナム語の歌のほうが好きなんだけど。お客さんは私が外国の曲を歌うのを好きみたいだから」と話していたという。
歌手ゴック・ティーに関する新聞記事はほとんど見つからない。2010年に外国人記者がインタビューした記事があるだけだ。その中で彼女は「45年間の歌手生活でインタビューを受けたのはこれが初めて」と明かしている。アルバムを1枚も残していないことも残念な限りだ。
[Tien phong online,13:27 | 06/04/2012,O]
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