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[特集]

IT業界から転進、線香作りに賭ける青年実業家

2012/02/05 08:03 JST更新

(C)Tuoi tre,Vi An
(C)Tuoi tre,Vi An
 線香の製造・販売を手掛けるフンギ社のチャン・フオン・アイン社長は、現在30歳の青年実業家だ。アインさんは米国に大学院留学し、シリコンバレーのIT業界で働いていたという異色の経歴の持ち主でもある。  アインさんは米国での勤務経験を買われて、ベトナムに帰国した際、アンチウィルスソフトウェア「ビットディフェンダー」のベトナム代表に就任し、活躍していたこともある。その立場を投げ打って、線香作りを始めると決めた時、紅河デルタ地方タイビン省の田舎で暮らす両親は激怒したという。  なぜ成功していた仕事を捨てて、突然方向を変えたのか? アインさんは「突然ではないし、間違った選択だとも思っていません。これは縁だと思います。子供の頃から、家の近くにあったケオ寺の静けさの中で、鐘の音を聞いたり線香の香りを嗅いだりすることが好きでした。学校に行くようになって、欧米人にできることなら自分にもできると留学も果たして働いてきました。でも、ケオ寺や線香の香りが懐かしくてたまらなくなりました」と話す。

 アインさんは帰国して働きながら、線香作りのノウハウを学び、起業用の資金を貯めていった。平日の夜は本を読んで線香の原料や製法を研究し、土日にはリュックを担いで山に入り、線香職人や香料の買い付け人に会って話を聞いた。  アインさんは給与のほとんどを注ぎ込んで、各地に線香の製造施設を作っていった。4年後には故郷のタイビン省の他、東北部バクザン省やハノイ市郊外に合わせて10か所ほどの施設ができた。こうしてしばらくの間、外国からの加工仕事を引き請けていたが、どんなに良い製品を作っても自社ブランドがなく利益が出ないため、アインさんは独立を決意する。  目標は煙が少なく、自然の香りがし、燃焼時間の長い線香を作ること。アインさんは各地の原料を使い、独自の製法で9種類の香りの線香を作り出すのに成功した。高品質を維持するため、原料の処理には時間をかけており、3か月も流水にさらしてから乾燥させるという。  製品の販売は自社のウェブサイトとお寺だけで行っている。アインさんは、金にあかせて線香の束ごと着火するやり方を批判し、「心がこもっていれば、線香1本でも十分です」と話している。  

[Tuoi tre online, 15/01/2012, 08:30 (GMT+7), O ]
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