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[特集]

カントングループの女社長、家政婦からの成功物語

2011/12/18 08:36 JST更新

(C) DDDN<br>遊園地ハッピーランドの投資促進会議に参加したファン・ティ・フーン・タオ社長(写真中央)
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遊園地ハッピーランドの投資促進会議に参加したファン・ティ・フーン・タオ社長(写真中央)
 小学校卒業後、学業を断念せざるを得なかった少女は、ホーチミン市で身を立て、大会社の社長に上り詰めた。もちろん最初からうまくいくはずもなく生活は困難を極めたが、それでも諦めずに夢を叶えるため努力し続けた。彼女の名はファン・ティ・フーン・タオ、ホーチミン市で名を轟かすカントングループの女社長だ。  裕福な家庭に育った彼女の生活は、戦争ですっかり変わってしまった。おびただしい数の爆弾が投下され、東南部ビンズオン省にあった彼女の家も破壊し尽くされた。彼女が一番悲しかったことは、困窮を極めた家族の状況というよりはむしろ、学校に通えなくなったことだった。その後、両親は生活の苦しさから、田舎に移り農業で子供たちを養おうと決めた。12歳になっていた彼女は田舎には行かず、ホーチミン市の叔母の元で家政婦として働くことになった。  家政婦として3年働いた後、彼女は両親の元へ戻り、陶器売りや畑仕事を手伝うようになった。16歳の時、両親の勧めで結婚した頃から、彼女の人生は大きく変わり始める。夫は結婚数か月後に友人とともに国外逃亡してしまった。途方に暮れた彼女は両親の元へ戻ったが、その頃家の状況はますます厳しくなっていた。

 「私は密かに思いました。こんな暮らしを続けていくのはいやだ。奉公人として働きに出よう。お金持ちになって二度と家族が困らなくていいようにしようと。僅かなお金を貯めながら、家を出る機会を狙っていました。そしてある程度のお金が貯まったとき、両親に秘密で真夜中に家を出たのです。」  それからの日々は大変だったが、彼女は決して嘆かなかった。仕事が終わった夜には、同じような生活をしている人のために洗濯をしてお金を稼いだ。2年間で貯めた資金を手土産に田舎へ戻った彼女は両親のために稲を購入した。そこから得た利益で印刷業を始め、少しずつ資金を増やしていった。  その後、知人の紹介で結婚した新しい夫と共にブンタウ市で食堂を開いた。店は大いに繁盛し、地元で評判の店となった。小さいながらも家も手に入れた。しかし、彼女のサクセスストーリーはこれで終わりではない。  ブンタウ市で食堂を開いているとき、車で食堂に乗り付ける女性がいた。彼女はそれを見て、どうやったらあんな風にお金持ちになれるのだろうと思っていたという。何度か話をするうちに分かったことは、その女性が工事現場用の石材を扱う仕事をしているということだった。

 どうにかしてお金を稼ぐことを考えていた彼女は、建設会社を経営している夫の知人に頼んで石材を仕入れてもらおうとしたが、既に決まった取引先があるとして、断られた。それでも諦めずにいくつかの工事現場をあたり、とうとうある現場で合板と石材を仕入れてもらえることになった。その結果8000万ドンを稼ぐことができた。これは当時において決して少ない額ではなかった。この仕事が終わると、新たなビジネスチャンスを探すことを決意する。食堂を妹へ譲り、車を買って、建設用の砂と石材の販売を始めた。その後は彼女自身の努力、そして、いくつかの幸運が重なり、会社は成長していった。  今では大企業の社長となったにもかかわらず、彼女と話した人はその素朴な人柄に驚くだろう。都会暮らしが長くなった今も、苦しい時期を乗り越え、常に前進を続けてきた気持ちを忘れることはないという。彼女が今でも一般社員達と昼食を共にするのは、一緒に働く人達の気持ちを理解しようと努めているからだ。  「昔は本当に貧しくて食事できることがとても貴重でした。辛かったけれど、貴重な経験でもあります。社員達とのコミュニケーションを大事にしていれば、彼らとよりいい関係を築くことができるのです。お金と権力で経営しようとすれば失敗します。逆に誠実さをもって経営すれば、社員の心は団結します。例えば、社員の家族が困難な状況にあるとき、社長がそのことを知っているかどうか。食料が不足しているとき、どのように援助したらいいのか。社長がそれを実行することで、社員は仕事に専念することができるのです。」  

[DDDN02/12/2011 - 07:16U]
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