[特集]
無人島でウミガメ守る「ロビンソンばあさん」
2011/10/16 07:45 JST更新
(C) Thanh nien, T.Đ |
南中部ビンディン省クイニョン市ニョンハイ村の沖合に浮かぶホンコー島に、この31年間たった1人で暮らしている女性がいる。チャン・ティ・ヌーさんが本名だが、人はロビンソン・クルーソーをもじって「ローばあさん」と呼んでいる。この島にはウミガメが産卵にやって来るが、ヌーさんはいわばウミガメの"産婆"役だ。
ヌーさんは現在80歳を超えているが、1人で小船を操って本土との間を往復する。30年以上前初めてこの島に来たのは、海草を採るためだった。砂浜で休んでいると、日頃の心配事を全て忘れて気持ちが癒されていくのを感じた。それから時々島に来て過ごすようになった。
人気(ひとけ)のない砂浜で寝ていると、カニの走る音、鳥の鳴き声、それに波の音だけが聞こえ、魂が海に溶け込んでいくようだった。ところがある夜、異様な物音がしてその方向に目を向けると、岩のような塊が海から砂浜に動いていた。それがウミガメだと分かったのは、しばらく後の事だった。
ウミガメが産卵しているのを知ると、ヌーさんは自分で卵を茹でて食べたり、本土で暮らす子供や孫に届けたりした。孫のビンさんは産卵の季節になると、ヌーさんと一緒に卵を採り、海に潜って海草やサンゴを採って販売した。
ヌーさんはある時、産まれたばかりの子ガメの後を追って海に潜ってみた。色とりどりの魚とサンゴの美しさを目の当たりにして、「自分はこの自然を破壊しているのではないか」と思ったヌーさんは、それから卵を食べるのを止め、他の人にも卵を採らないよう求めた。海岸のごみを拾い集めて、自然環境を維持するように努めた。
孫のビンさんは成長し、国際自然保護連合(IUCN)で働くようになった。「おばあさんに卵採りを禁止されたのはずいぶん前の話です。IUCNのおかげで、自分たちは貴重な自然を保護しなければいけない事が分かりました」とビンさん。
ヌーさんとビンさんの変化に始めのうちはとまどっていたニョンハイ村の人々も、やがてウミガメ捕りを止め、海草やサンゴを採るのを止めるようになった。ビンディン省水産資源利用・保護支局水産資源環境管理課のグエン・ハイ・ビン課長は、「ヌーさんはウミガメの保護について我々の相談役になってくれています。ニョンハイ村の人々も、ウミガメ、海草、サンゴの保護に参加し、ウミガメが産卵しやすい生態環境の維持に貢献しています」と話した。
[Thanh nien online, 17/09/2011 14:40, O]
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